高校3年生、10月の模試で物理が0点だった。

それもそのはず、物理の最初の範囲である、

等加速度直線運動から取り残された私には、その先がわかるわけがないのである。

 

私の物理の時間は、内職でもれなく化学の時間になった。

物理の授業を全く聞いていないのだから、テストなんてわかるはずがない。

マークの模試は運良く15点、定期考査は名前だけ書いて提出した。

 

見かねた物理好きの友達が私に物理を教えてくれた。秋。

弦の振動、気柱の共鳴の分野の範囲を0から教えてくれた。

物理が1㍉もわからない私でも理解できるように教えてくれた。

その理解できたときの衝撃は今でも忘れられない。

「こんな簡単なことをやっていたのか!!」

 

そこから物理を勉強するようになった。

みんながセンターの過去問や赤本を解いているなか、

等加速度直線運動の公式から始めた。

格好悪かったかもしれないけど、周りの友達に聞いた。

「そんなこともわからないの?」と言いながら、丁寧に教えてくれた。

 

力学、波動、電磁気の標準的な問題は解けるようになってきた。

応用問題はできなかったが、センターレベルに向けて物理を必死に勉強した。

 

そして迎えたセンター本番、自己ベストをたたき出した。

物理、72点。センターリサーチで偏差値54.5まで登りつめた。

高3の10月の私の物理の成績からは信じられなかっただろう。

志望校Aランクまだたどり着いた。

二次試験でメチャクチャなミスをしない限り合格だから、もし上があったらSランクだと思う。

 

今、私に教えてくれた友達に、感謝の電話をした。

 

キッカケは些細なことかもしれない。自分には無理だ、と思うかもしれない。

転機は必ずやってくる。それに気づくことができるかが大きな分かれ道なのだろう。

 

決して諦めないでほしい。可能性はまだあるし、チャンスもあるのだから。