忘れ物って誰かに何かを贈りたいことの気持ちのあらわれなのかなあと思うこともある。だから忘れ物をたくさんするひとはやさしいひとなんじゃないか。いや、きびしくてもいいんだけど、世界に何かを贈りたくてしかたなかったんひとなんじゃないか。「よく寝たら思い出してね私を/竹井紫乙」。

私は昔ランドセルを家に忘れたまま学校に軽やかに行ったことがあって、いったい何をしにここにきたんだ、みたいなことを言われたけれど、でも人生って持っていくことのできなかったランドセルを探しつづけるみたいなとこもあるんじゃないか。「どうしても忘れられないヒマな日々/竹井紫乙」。