いいことありますよ、とふっと言われて、このひとはどういう自信があってそんなこと言えるんだろうと胸がどきどきしたが、でもこの世界には、いいことありますよ、と無責任にひとに言える権利をもったひとがあらかじめ散らばっているのかもしれない。童話みたいな不思議さがこの世界にはある。

いいことありますの国から派遣されているひとがいて(そのひとたちは正体は明かせないけれど、いいことありますよ、とだけは伝えられる)、私たちは懸命に生きて、チェックポイントみたいにそのひとたちにたまたま出会い、いいことありますよ、と言われ、電車にゆられ、お家に帰る。いろんなことを少し忘れて。