三谷幸喜『愛と哀しみのシャーロック・ホームズ』。今までのホームズとワトソンの関係よりは、海外ドラマ『シャーロック』のラフな二人の関係を織り込みながらも、ポワロとヘイスティングスの終の関係のようなシリアスな局面も混ぜ込んでいく。ふたり、じゃなく、二人とは三人であることを考えるドラマ。

『十二人の優しい日本人』の最後のモノローグもそうだが、ひとは生きていく中でどうしても〈余分な1〉を抱えてしまう。その1はいつか消えるかもしれないけれど、まだ消えない。その1を抱えて、ひとは誰かと生きていく。いつか1は去るかもしれないが、まだあなたの前にいる。でももう、あなたがいる