『三四郎』というテクストにおいて、野々宮、原口、広田という男性たちは、女性を表象することへの欲望を備えていることが確認できる。
『三四郎』のプロット展開において、美禰子という女性は〈誘惑者〉と規定されていたことを考慮すると、『三四郎』というテクストでは、女性は〈誘惑者〉として存在しているがゆえに、男性たちは女性を表象として封じ込めようとするということになるだろう。

  生方智子(『三四郎』をどう読むか)