小林賢太郎テレビ10のコント「紳士の解釈」。「これはなんだね?」と指さしたものを「コピー機です」と教えられた紳士は「ほんものはどこだ!オリジナルのコピー機はどこだ!」と叫ぶ。『不思議の国のアリス』で行われていたことばに忠実すぎるあまり不条理をうむ行為を小林さんはコンビニで繰り返す。

コピー機購入の際「領収書のお名前は?」と店員から聞かれ「領収書に名前があったか」と紳士は〈りょうこ〉と領収書に名付ける。〈りょうこ〉と名付けた〈ことば違い〉の〈現象〉は〈現実〉化してやってくる。紳士はさらに〈ことば違い〉からバイトの店員も連れ去り、三人でこれから暮らすことに。

小林賢太郎さんにとって、ことばは滑っていくもので、だじゃれやことば遊びのように別の次元をうむものなのだが、それは「遊び」に終わらずに「現実」になってしまう。ことば遊びだったはずのものが、ひとの出会いや別れをうみだし、愛や生活もうんでしまう。ひとは「ことば」の中で出会い・別れる。