深田晃司『淵に立つ』。ミヒャエル・ハネケは日本にもいるんだなあという無機暴力映画。タイトルの通り家族がどんどん〈淵に立た〉されていくのだが、その〈淵に立つ〉までのプロセスがただ〈目撃〉することしかできない状況になっている。誰が・何に・どう悪いのか誰も・何もいえない。でも、淵に立つ


この家族写真は美術絵画のような象徴的シーンの構図になっている。母親はカメラを持ち自己愛(男性への誘いと排除)を表し、娘は母親に寄り添いつつ父・下宿人(浅野忠信)=男性から顔を背け眼をつむり(男性の排除)、父はすべてに眼を背け、下宿人の浅野は横目=盗み目で家族を見つめる(破壊者)。