ドラマ『相棒』をみていていつもいいなあと思うのが、この世界には絶対なんてないんだ、ってことを、相棒が変わってゆくことによって体現していることだ。タイトルなんだから相棒は絶対的に重要なはずなのにその根幹がシリーズごとに変わってしまう。この世界にはぜったいなんて、ない。

『相棒』でいちばん好きなセリフが、杉下右京が犯罪者にいった「わたしにあなたのことを理解させないでください」なのだが、ドラマの根っこって、あなたのことを理解したい理解させてほしい、ではなくて、〈理解させないでほしい〉にあるのではないか。だってひとは暴力的に理解してしまうものだから。