最近『ファイナルファンタジータクティクス』をクリアしたのだが、このゲームの特徴にゲームのキャラクターが殺されるときにリアルな悲鳴をあげて死ぬというものがある。ただしそれは電子音を合成したような異質な音=声なのでゲームの〈肉的部分〉のような異質なゲーム・リアリズムを感じさせる

デフォルメされたキャラクター的身体をもっていたとしいてもそのデフォルメされた身体から、刺され、血を噴き、「うおおおおおお」とおたけびをあげて死んでゆくキャラクターたち。そのひとりひとり絶対にあがるおたけびを重ねながら、プレイヤーはゲームをクリアすることで死の経験値を重ねる事になる

このゲームはエンディングが非常に後味が悪いものとなっており、ある意味で、富野由悠季作品のような、『イデオン』的全員死亡エンディングなのだが、そのとき生きてしまっているプレイヤーはなぜそこで寝ころびおまえは生きてしまったのか、プレイとは生き延びるのことなのかと問われることになる

『ファイナルファンタジータクティクス』を通して学んだのは、ゲームの最大のジレンマとは、ゲームのキャラたちがこれでもかと死んでゆく中でプレイヤーが絶対的に生き延びてしまう事ではないか。ゲームをクリアするという事はプレイヤーひとりがどういうかたちであれ生き延びてしまうということなのだ