花輪マンガのなかの女性の髪の毛の特徴のひとつに、必ずほつれているというか、とてもていねいにほつれ毛が描かれているんですよね。

で、これはなんだろうっていつも思っているんですが、たぶん、このほつれ毛があることによって、女性が女性であろうとする時間が与えられていないことが端的にあらわれている。

つまり、裏返せば女性の枠組みに女性が準じるひつようがないので、花輪マンガではいつも女性が男性を裏切るラストが用意されている。

だから、ほつれ毛って、〈時間〉なんじゃないかなっておもうんです。髪の毛を直すひまがない時間がほつれ毛によってあらわれる。でもそのほつれ毛によって、女性は女性自身のおかれる立場から抜け出るすきをみつけてしまう。

それが花輪マンガのほつれ毛クオリティなんじゃないかとおもうんです。




花輪和一さんのサイン