あとがきを書くためのマニュアルだけはないので、どうやってみんなあとがきを書いているんだろうかとときどき不思議に思う。
だれもあとがきの書き方だけはおしえてくれない。
あとがきは、解説でも序文でも物語でも感想でも、ない。
でもみなが書き方を知っていたかのように、書くのだ。
ぬっと顔をだして

たとえば神だけが書けるあとがきもある。
世界のあとがきである。
すべてが終わったあとで、神が書くあとがき。
しかしだれが読むのか。
読まれてこそのあとがきではないか。
しかしあとがきとはすべてが終わってから始まるのである。
ではあとがきとはなんなのか。
終わったのに始まるのってなんなのか。なに

しかし人生とはわたしがあなたにあとがきを託していくその作業ではないかと思うこともある。
わたしはわたしの本分を果たしました。あとはあなたがあとがきを書いてください、と。
そうするとあなたはわたしのことを思い出しながらあなたのやり方であとがきを書いてくれる。
すべてが終わったその場所から

私は一度「あとがきオフ会」に出た事があるのだが、みんな集まったはいいもののもじもじしていた。黙っていた。
誰かがおもむろに口をひらいた。

あとがきってどうやって書いたらいいんすか

みんなあとがきを好きだったけれど、あとがきの書き方を知らなかった。何も始まっても終わってもいなかったので