岩松了『台所の灯 人とその一般性の徴候に寄せて』の署名本。
岩松了のあとがきには、「停滞した人間たちのありさまの中で、その停滞をあざむいてゆくもの。仮に座が盛り上がらなくとも、逆にその盛り上がらなさの中で、加速されていくものの正体」。
たぶんこうした〈静かな過激〉が岩松演劇の核になっているとおもいます。
これは、チェーホフにも通じることだと思う。チェーホフの人間たちは突然回想しはじめるが、回想は記憶の身体的裏切りでもある