高橋順子さんの詩集『あさって歯医者さんに行こう』。
「あさって」といっている時点でわたしはこの語り手は歯医者さんには行かないとおもう。「あした」ではなく「あさって」と選んでしまった時点において。
だから、「あさって」とは、たぶん、「えいきゅう」のべつのいいかたなのだ。ひとはこんなふうにいうこともできる。「あさって、けっこんしよう」と。
でも、裏返せば、人生ではたくさんの「あさっての約束」をすることができる。なぜなら、あしたがあさってになるということは、あさってもあしたとしておさまってしまうこともありうるからだ。
そして、たぶん、それが詩のちからなのだ。
あした、けっこんしよう。
いつかあさってがあしたに、なる。