物を詩にせず物自体として歌うこと。
ひるがえって、自分という物が軽くなり喪われてゆくこと。
八木の詩のかるみはそこにあるのではないか、とおもう。
物を詩にしてしまえば、仮託する自分を浮き彫りにしてしまい、詩が、ことばが、重たくなってしまう。
物そのものを・物そのままに語らせること。
そこからの逆照射によって語り手をふいうちのように雲散霧消させること。
モノの呼気に耳をすます八木の素朴なアクロバティックが詩集全編にしみわたっている。