きょうひさびさに会ったひとがすごくきれいになっていたので、びっくりした。
なでてもいいですか、ときいたが、だめとのことだった。
はなのあなにゆびいれてもいいですか、といったが、それもだめとのことだった。
じゃあなんならいいんだ、とおもったが、くちにはださなかった。
すそならつかんでもいいよ、といわれたので、ひっしになってすそをつかんだ。すそはたよりない。こころもとない。しかししばらくつかんでいるうちに、すそとなかよくなったようなきぶんがしてきて、わたしは鼻歌さえうたっていた。わるくないすそだった。わすれない。
ほとんどのことは、だめだったが、かんがえてみれば、いままでだってそうだったのである。わたしはそのむれさわぐだめたちをいっかつして、よし、ととなえることに、きめた。
さいごにもういちど、はなのあなにゆびをいれてもいいですか、といったが、だめ、といわれた。よし、とした。