「不可解なこと」

「言葉が正確に

対象を言い当てられていないと感じること」、

それらが人をそこに立ち止まらせて、

内省させてくれる。

そのとき、自分という存在は

人間や世界の外に立たず、

それを考える循環の中に置き止められる。


     保坂和志『「三十歳までなんか生きるな」と思っていた』