さいきん、

友人とひさびさに話をしたら、

友人の話すスピードについていけなくて、

友人が話してるあいだずっと、

やべえ何話してるのかぜんぜんわかんねえよ、

と思っていた。

……「と」!?……いま、「と」っていった!、

……あー、やっぱあとわかんねえ、

また「と」出たぞ、「と」以外、わかんねー。

貴重な「と」だよ。あと、わかんねえけど。

すました顔して、聞いていた。

したり顔で、

そうだね、

などと、折り合いをみては、

てきとうに、相槌をいれたりしていた。

わたしには、そういうところが、ある。

むかし、中央線特快に久々に乗ったときも

あまりに速くて、じっと、しゃがみこみながら、

眼をつむり、手すりをにぎりしめていたことが

ある。やべえ、とおもった。はやさやべえ、と。

あんなに通学に使っていたのに。

だんだん、ついていけてないことが、

わかりはじめた。

友人は、まだ、しゃべってる。

なにかいって、すこし笑った。

じぶんの話が、おもしろかったのだろう。

この世の中に、そんなにおもしろいことが

あるのか。

でも、どんなに注意深く聞いてみても、

やっぱり、よく、わからないので、

あいもかわらず、わたしは、

そうだねああそれはすごいそうそうないね、

などと、ひとつおぼえの

ありがたいにんげんのように

くりかえして、いる。