なんか、

一生懸命でしょう?

生きることに対して……

どうして人間は一生懸命になるんですかね……

いつか死ぬのに……

頑張って、一生懸命になって、

何を忘れようとしてるんでしょう……

死ぬことかな……

あんなに若いのに、

どうして、死ぬことを忘れようとするんでしょう。


ボクのことを嫌いだって言うんです、菜摘は。

そのことが、なんか、とても正しいことのような気がして……

その正しさにボクは心をうたれるんです。


             岩松了『水の戯れ』