カフカと

ベケットには、

書かれた形としては

世界に対する

人間の無力が

貫かれているけれど、

言葉との根源的な戦いは

一度として

放棄されたことは

なかった。


カフカと

ベケットは

言語との戦いの中で、

言語の力に

翻弄されつづける

という態度を

能動的

選び取った。


  保坂和志「思索することと実作(実践)することの差」