こんな


やみよの


のはらのなかを


ゆくときは


客車のまどは


みんな


水族館の


窓になる





   (乾いたでんしんばしらの列が


   せはしく遷つてゐるらしい


   きしゃは銀河系の玲瓏レンズ


   巨きな水素のりんごのなかを


   かけてゐる)





りんごのなかを


はしってゐる





   宮沢賢治「青森挽歌」