マザーは、
それまでのRPGの認識論的切断を
せまるようなメルクマールをなすゲームだった。

英雄の血をひいているわけでもなく
女王から使命を受け継いだものでもなく
どこにでもいる母親の息子が
バットと野球帽をかぶり、旅に出る。

お金はゴミ箱に隠れて姿を現さない
お父さんがいれてくれた預金を
キャッシュカードでひきおとし、
デパートで買い物をする。

マザーが象徴的なのは
敵を「たおした」ではなく、
敵が「おとなしくなった」と
表示される点にある。

いまあるセカイを討伐しているわけではなく、
いまあるセカイをやわらかくしているのだ。まるで、母親のようだ。

そう、これはいままでFFやドラクエがたちあげてきた父性原理への
母性原理からの挑発でもあった。

タイトルは、MOTHERである。FATHER=法ではない。

それまでのRPGのプレイヤーは、
旧約聖書のわがままで残酷な神のような存在で
いることを求められた。

つまり、プレイヤーはセカイを俯瞰し、統治する
「父の法」であることを求められた。

ところが、MOTHERで特徴的だったのは。、
プレイヤーが「あなた」として呼びかけられる点にある。
わたしたちは彼らを冷徹な視線でもって
操作することを求められるのではなく、
彼らをあたたかい視線でもって庇護することを
求められている。

わたしたちプレイヤーは
それまでのFFやドラクエのような
厳格な他者(OTHER)から
母(MOTHER)へとプレイヤー主体が
切り替わったのだ。

いちごどうふ。

フライングマン。



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