予めお伝えしますが、僕と皆さんが同じクラスにいたら、高確率で僕の事は嫌いなタイプだと思います。


僕は小1からサッカーをやっていました。

運動神経はめちゃくちゃ良かったです。

1〜中3まで体育の通知表は常に大変よくできましたか5段階中5評価でした。6はないのかと問い合わせた事もありました。


特に足が速かったので、リレーではいつもアンカーでした。小6の時の運動会では、ビリでバトンでもらいトップまでごぼう抜きするという漫画のような輝かしい記憶が昨日の事のように思い出されます。


サッカーの方はFWでエース。

大会に出ても優秀選手賞やMVPをもらいまくり、メダルやトロフィーは多分実家に230くらいはあります。

地方選抜にも選ばれ、韓国代表との親善試合に出た事もあります。

「あいつは将来Jリーガーになるぞ」と言われてたような、そこそこ有名人だったんです。


ウザい自慢話はここまでにします。




「スポーツ万能の馬鹿」

僕にぴったりんこなフレーズだと思います。


どちらかと言うと当時僕は"一昔前の子供"って感じだったと思います。

ガキ大将気質でケンカっ早く、クラスの中心に無理矢理いるような感じですね。


何となくの記憶ですが、特に高学年に入った頃、男子は僕と話す時に皆んな気を使うというか、引きつった顔でなるべく関わりたくないみたいな雰囲気を醸し出していました。


それは小学生なりにわかってました。


最初は一切気にしてなかったのですが、それが段々と続いていくと「あ、俺嫌われてるかもな」って感じ始めたんですね。


一方的なコミュニケーション、相手が言う事を聞かないとすぐ殴る。身体は小さかったけどめちゃくちゃ気が強かった。裸の王様みたいですね。

サッカーが上手というだけで、マウントを取りにいくまさにガキ同士の世界観です。


そんな僕、ある日担任に呼び出されました。

担任「お前は何かの病気かもしれない。これを見ろ」


それは父兄向けの手紙。

【至急】けいと君、学校での生活態度に関する報告書 というタイトル。

中にはこんなことが書いてありました。


けいと君のお母様、お父様へ


・授業中奇声を発する

・休み時間を終えても教室に戻ってこない

・理科室のカーテンを破った

・授業中に徘徊して授業の進行を妨げる

・学業に対しての向上心がまるでない

・ユーモアはあるが、それで傷つく生徒が出てる

・上記、注意しても完全が見込めない状況であります。担任 山本


確かこんな感じです。

今言ったら確実にアウトですが先生は続けます。

「けいと。お前自分じゃ気がついてないと思うが頭か心の病気だ。このまま大人になったら大変な事になる。」


めっちゃショックでしたwwwww

俺、小学生ですからね。


「ああ、ボクは病気なんだ」

と泣きながら家に帰りました。


その手紙を恐る恐る親父に渡します。

親父はその手紙を読み

「だろうな。良い先生だ」


親父は僕の頭がおかしい事をうすうす勘付いていたそうです。

普段から恐ろしいくらい落ち着きがなく、集中力がない。家の机でもジッとしてられない。宿題は日曜日の20時くらいから渋々やるが諦めてサッサと寝る。怒ると人の気持ちを理解しようとしない。サッカーだけに没頭していて、ほっとけば夜中まで1人公園でリフティングをしている。


この症状、まさにアッチ系ですね。

当時そういう言葉がなかっただけだと思いますが。


ただですね、自分で言うのもアレですが、僕小学生の頃からモテたんですよね。小学生って足速いとモテるじゃないですか?完全にアレですね。女の子からは本当に良くしてもらいました。

バレンタインデーはまさに「俺の日」って感じで、当日は親父の臭いオーデコロンを振り振りして登校。

下駄箱付近で担任にゲキ詰められ、その場で服を脱がされ水道で身体ごと石鹸で洗われました。


日本人に求められる五角形(協調性・学力とかうんたらかんたら)は物凄いアンバランスな形をしており、"良い部分を伸ばすが、あとは知らねぇ"という親父の教育方針の元、100点中25点くらいのけいとが形成されていく事になります。


頭が弱いなりに五角形のバランスを良くしようと、まずは男子に好かれないとなと思い、自分から積極的に話しかけ、媚び売るような態度をした時期がありました。ただすぐに相手が気に食わなくなり、ブチギレて泣かすって感じになっちゃって更に嫌われました。


このまま小学校卒業シーズン突入。

進路について親を混ぜた三者面談が行われました。

担任「けいと君はどちらの中学校へ進学をお考えですか?」

親「皆んなと同じA中学校と考えております」


担任「んーー。けいと君の場合B中学校の方が良いかもしれません」

親「なぜですか?」


担任「言葉選ばず言うと、けいと君嫌われてます。みんなが来て欲しくないんじゃないかな」

親「主人と相談します」


色々アウトだろ、コレ。


家に帰り親父に相談。

親父は麻雀ゲームをやりながら

「じゃあB中でいいじゃねえか。出来損ないばっかりのA中に行って、お前がもっと馬鹿になったら困る。あっはっはっはっ!」


フォローなのか馬鹿にしてんのか。


そんなこんなで僕はB中に進学決定。

住んでる家が学区域から外れる為、越境申請の手続きをします。


ただこの適当な決断は、後々素晴らしい出会いを僕にもたらせてくれたのです。


なんやかんやで周りに嫌われながらも無事に小学校を卒業。

実はこの時生まれて初めて彼女が出来ました。

我ながら、とんだオマセさんで困ったモノです。

相手は、ピアノのコンクールで金賞を取るような才色兼備の女の子。

彼女はA中に行くので学校は別々になってしまうのです。

中学校の入学式まで春休みだったので、親父に頭を下げてお金をもらいます。


ボク「京子ちゃんと遊びに行きたい。お金ちょうだい」

親父「どこに行くんだお前この野郎〜笑 ませてやがるなぁ!公園ってワケにもいかねえな!女は大事にしろよ!仕方ねぇこれで男見せてこい」


自分のせがれに女が出来たと大喜びの親父。

初デート代に3万円くれました。


ボク「‥こ、これは」

親父「3万円でどうやったら女が喜ぶか考えろ」


この件、10年後くらいに陽介さんに、ほぼ全く同じ事をされるんですよね。

僕の事を好きな人は皆んな大金をくれます。

ちょろいちょろい。


僕はすぐさま本屋へ。

るるぶ的な雑誌で見つけましたぞ遊園地デート特集。

親父に掛け合い、よみうりランドのチケットを取ってもらいました。

何となくディズニーはハードル高かったんですよね。ご機嫌な親父はどこかでチケットを買ってきました。

親父「ほらよ」

ポンって出されたチケットよく見ると


「富士急ハイランド 小学生2名」


おい。よみうりランドって言ったじゃねえか。どうするんだよ。


親父「ああん?バスに乗っていけばいいだろうが馬鹿野郎!」


もうこの親父狂ってるよ。

小学生の初デートが高速バスに乗って遊園地行くとか聞いた事ないわ。


「根性、度胸、ハッタリ」が合言葉の親父は行け行けと電車の乗り換えやバスターミナルの地図をチラシの後ろに書いてくれました。


全部書くと長くなるので割愛しますが、結果楽しかったです。向こうもすごく喜んでたと思います。多分。

ただ、帰りのバスはお互いに疲れすぎて一言も話さず。

そのまま自然消滅しました。


数日経ったあと、短い春休みはあっという間に終わり、僕はB中学校の入学式当日を迎えます。

初めて着る学ラン。桜が舞う晴天の日。

僕は中学生になりました。