大塚高校 2009と2006 | 楽しく考える男子バレー

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男子バレーボールを中心に、思うこと考えることを楽しく書いていきたいです。

書きかけて、そのままでした。すみません。
改めて、こちらに書きます。
長文なので注意してください。


今年のインターハイで優勝した大塚高校がどんなチームなのか、記録から見てみました。
なぜ2006年と比較したかというと、この年しか記録がないからです。
準決勝から記録が掲載されることが多いようですが、なぜか2008の記録はありません。


2009個人成績はこちら から。(PDF)
2006個人成績はこちら から。(PDF)


月刊バレー9月号に、男子決勝を「データバレー」で分析した記事が掲載されていました。
「データバレー」とは比べ物になりませんが、この記録1枚からもイロイロなことがわかりますし、想像もできます。
(「データバレー」と今回参照している個人記録では、若干数字が違います)


まずは、スタメンの学年と身長。
高校バレーではセッター対角の役割が異なることが多いので、ポジションはL:レフトR:ライトC:センターと位置で表記しました。
ポイントゲッターは、2009も2006もレフトの選手です。


大塚2009 平均身長:181.3
|L①新井3年185 R⑦近藤2年171 C⑤親川3年183|
|C③土谷3年180 S②濱3年172  L④高岡2年191| リベロ⑨山本2年171


大塚2006 平均身長:173.5
|R⑦森嶋3年170 C③大薮3年173 L①下畑3年173|
|L④西脇3年182 C⑥長屋3年173 S②羽柴3年170| リベロ⑨川口3年173


これは、月刊バレー付録のインターハイガイドを参照しました。
2006は全員3年生、2009は3年が4人2年が3人。


平均身長は、2009の方が2006より7.8㎝も大きいです。
2006は、全国大会レベルとしては、かなり小さいチームでした。
平均だけでなく、チーム最長新選手も、2009は191の高岡くん、2006は182の西脇くんと、9㎝の差があります。


2006で特徴的なのは、センターの身長です。
サイドでU175という選手は珍しくありませんが、両センターがU175というのは珍しいです。
2009もセンターよりレフトが大きいのですが、センターも180以上です。
実際に誰がセンターブロックだったかはわかりませんが、他の選手も小さいので、ブロックではかなり不利だったと想像できます。
数字を見ても、2009が4セットで9ブロック、セット2.25に対し、2006は2セットで2ブロック、セット1.00です。


単純に考えれば、2009は優勝で2006がベスト4だった理由は、身長ということになると思いますが……
それでは、身長が大きくなければ勝てないということになってしまいますので、もう少し記録を見てみましょう。


2009決勝、大塚の相手は市立尼崎でした。
2006の相手は、八子くんのいた深谷です。
それぞれの対戦については後ほど考えてみることにして、まずは対戦相手を頭に入れつつ、2009と2006を比較してみました。


決勝は5セットマッチ、準決勝は3セットマッチのため、セット数は2009が4セット、2006が2セットなので、単純に数字で比較することはできません。
割合を出してみることにしました。


月刊バレーの記事に倣って、総得点中、アタック得点などが占める割合を見てみましょう。


アタック得点/総得点 相手のミス/総得点 相手のアタックミス/総得点
2009 78/103=75.7 16/103=15.5 12/103=11.7
2006 28/44 =63.6 13/44 =29.5 4/44 =9.1


2009決勝はアタック得点の占める割合が大きいということでしたが、2006は少し小さいですね。
では、何が大きいのでしょう?
相手のミスによる得点が、2006は2009の2倍近くあります。
相手からたくさんの得点をもらったにもかかわらず、勝てなかったということになります。
けれど、2009の決勝分析で指摘されていた相手のアタックミスについて見てみると、逆に2006の方が少ないです。
この問題は、大塚vs深谷を見るときに、また考えてみます。


次にアタック決定率・効果率を見てみます。

決定率は、決定/打数。
効果率は、(決定-ミス-被シャット)/打数。
(決定-ミス)/打数も計算してみました。


アタック 決定/打数  (決定-ミス)/打数 (決定-ミス-被シャット)/打数 決定率-効果率
2009 78/135=57.8 (78-6)/135=53.3 (78-6-2)/135=51.9 57.8-51.9=5.9
2006 28/62=45.2 (28-4)/62=38.7 (28-4-4)/62=32.3 45.2-32.3=12.9


いずれも2009の方が、かなり高い数字です。
月刊バレーの記事でも取り上げられていた、決定率と効果率の差も出してみました。


今度は個々のアタッカーについて見てみました。
個々のアタッカーの被シャットは記載されていないので、(決定-ミス)/打数で比較してみてください。
ミスがゼロの場合、決定率と同じになります。


2009  個人打数/チーム打数 個人決定数/チーム決定数 決定/打数 (決定-ミス)/打数
L 新井 52/135=38.5 24/78=30.8 24/52=46.2 (24-4)/52=38.5
L 高岡 17/135=12.6 9/78 =11.5 9/17 =52.9 (9-0)/17 =52.9
R 近藤 12/135=8.9 9/78 =11.5 9/12 =75.0 (9-0)/12 =75.0
C 土屋 31/135=23.0 21/78=26.9 21/31=67.7 (21-2)/31=61.3
C 親川 21/135=15.6 14/78=17.9 14/21=66.7 (14-0)/21=66.7


2006  個人打数/チーム打数 個人決定数/チーム決定数 決定/打数 (決定-ミス)/打数
L 下畑 26/62=41.9 11/28=39.9 11/26=42.3 (11-1)/26=38.5
L 西脇 18/62=29.0 11/28=39.9 11/18=61.1 (11-0)/18=61.1
R 森嶋 6/62 =9.7 4/28 =14.3 4/6 =66.7 (4-1)/6 =50.0
C 大薮 5/62 =8.1 1/28 =3.6 1/5 =20.0 (1-0)/5 =20.0
C 長屋 6/62 =9.7 1/28 =3.6 1/6 =16.7 (1-2)/6 =-16.7


2009で特徴的なのは、センターの打数の多さです。
OP的役割の新井くんに次いで打数が多いのは、センターの土屋くん、その次もセンターの親川くん。
これは、かなり珍しいケースだと思います。
決定数で見ると、新井くん24土屋くん21、ほとんどかわりません。
実際、テレビ観戦していて、土屋くんの方が決定数が多いのではないかと思ったほどです。
新井くんの対角レフト高岡くんの決定数は、土屋くんの半分以下です。


センターの活躍は、セッター濱くんのトスによるところも大きいと感じました。
これは試合を見たからこそわかることですね。
今回参照している個人成績からは、セッターの貢献度を判断することは難しいと思います。
そういう意味では、2006のセッター羽柴くんがどうだったのかは、あまり想像できません。


打数が少ない高岡くん・近藤くんですが、ともにスパイクミスはゼロ、決定率も高く、よい働きをしているという印象です。
新井くん・下畑くんの決定率が低いのは、打数が多く、マークがキツイからだと思いますが。


2006を見ると、両エースの打数が多いと感じますが、このチームとしては、これが普通なのでしょうか?
A票の山口監督のCoach Comment「大塚バレーが十分通用した」とMatch Comment「大塚も粘り強いレシーブから西脇の平行・下畑、森嶋らの切れ味鋭い時間差を決め、2セットとも接戦に持ち込んだ」を読むと、攻撃の内容としては悪くなかったという感じがします。
ただやはり、他の選手がもう少し打てれば、違った展開になっていたかも知れません。


レセプションを見てみましょう。


レセプション 成功/受数
2009 2006
Li 山本 18/20=90.0 Li 川口 2/5 =40.0
L 新井 0/0 = 0.0 L 下畑 12/15=80.0
L 高岡 14/29=48.3 L 西脇 7/15 =46.7
R 近藤 31/40=77.5 R 森嶋 4/5 =80.0
チーム 63/89=70.8 チーム 25/40=62.5


レセプション 個人受数/チーム受数
2009 2006
Li 山本 20/89=22.5 Li 川口 5/40 =12.5
L 新井 0/0 = 0.0 L 下畑 15/40=37.5
L 高岡 29/89=32.6 L 西脇 15/40=37.5
R 近藤 40/89=44.9 R 森嶋 5/40 =12.5


新井くんはゼロですから、位置としてはレフトでも、役割としてはOPということですね。
レシーブの中心はライトの近藤くん。
高校バレーでは、今でもこのスタイルが多いと思います。


2006は、レセプションもレフトの2人が多いですね。
この試合に限ってのことかどうかはわかりませんが。


2006より2009の数字がいいのは、2009の方がレセプションがよかったというよりは、市立尼崎より深谷の方がサーブがよかったからかも知れません。
深谷はジャンプサーブが多かったのではないかと思います。


ブロックやサーブについての記録もありますが、あまりに長くなってきたので、この辺で終わりにします。
たった1枚の記録でも、たくさんのことが想像できました。
2006の試合も見たかったと、強く感じました。


全体を見て感じたこと。
平均身長の低いチームが勝つためには、すべての選手が活躍しないと難しいのかも知れません。
2006大塚はいいチームだったと思いますが、アタックでもレセプションでも、下畑くん西脇くんの割合が大きいので、バランスという意味では、いまひとつだったかも知れません。
2009大塚は、レセプションに入らない新井くんと両センターがアタックを多く打ち、打数の少ないライトの近藤くんがレセプションを多く受け、それぞれが得意な分野でチームに貢献するカタチができていたのではないかと思います。


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