最近、本を10冊中9冊はアマゾンで注文していますが
時間があるときに、ふらっと本屋さんに入って
そこで目にした
普段読むことがないだろう本を手にとって
パラパラめくって、面白いかもと感じる本を購入することを時々しています。
本書も、家の近くのショッピングセンターに入っている本屋さんで見つけました。
フランス文学・研究の大学教授である、著者の奥本大三郎氏は
小学生の時に入院生活を余儀なくされましたが
病床でファーブル昆虫記に夢中になったことにより
文学と昆虫への興味を膨らませ
フランス人であるファーブルの影響を受けたことで
大学ではフランス文学を専攻して研究者になる一方で
昆虫への興味も尽きることはなく
日本アンリ・ファーブル会理事長や
ファーブル昆虫館「虫の詩人の館」館長なども務めています。
ファーブル昆虫記の翻訳もされていますが(現在全10巻中9巻まで出版)
その翻訳をしようと決意した理由は
それまでの翻訳が、訳者が虫のことをよく知らないために
表現が難しくなったり、わかりにくくなってしまっているので
虫に詳しい自分が訳すことにより
「もっと面白い」ファーブルの世界を伝えたいという気持ちがあったそうです。
100の虫についてのエッセイが、1つにつき見開き1ページに書かれていますが
著者が抱く昆虫世界の飽くなき探求心と、昆虫への愛情が、十分に伝わってきます。
それぞれにユニークな挿絵も描かれ、単に虫についての事実が述べられるのではなく
著者自身の体験も織り交ぜてあったり
ユニークな比喩が使われていたり
古典やフランス料理から話を始めたりなど
見開き1ページの説明を読むと
もっとその虫について知りたいという気持ちになります。
自分も、気がつくとインターネットで調べて
昆虫の研究で有名な他の研究者のブログにたどり着き
「軍隊アリ」についての記述を読んだりなど
読書をしながら、インターネットも使うことが度々あったので
本書を読む際には手元にPCを置いておくことをお勧めします!
本書から、印象に残ったところを少し。
(本文から)
南仏の荒野で、実際にこの虫(注:スカラベ)の働く姿を見たとき、私にはこれがほんとうに神聖な虫に見えた。この虫のためだけにフランスに渡ること四度、やっと生きたその姿を見ることができたのであった。
生きている虫を見るためだけに4回もフランスにって、凄い…
フタモンアシナガバチについてでは、幼虫のためにかいがいしく働く様子を説明した後で、不猟続きで獲物が不足してくるとどのような行動をするかに触れています。
(本文から)
まるまる太った幼虫や、すでにマユを作っているサナギを、働き蜂がその個室からすぽんと引きぬく。それを、何ということか、引き裂いて肉団子にし、ほかの幼虫に分け与えるのであるという。
背筋がぞっとしました。昆虫の本能的・合理的な行動なのだろうけどね…
また、マレーシアの田舎町を、噂に聞いた蛍の樹を見るために訪れたときのこと。
(本文から)
夜になった。小舟に乗って真暗闇の水面にすべり出る。そして両岸の樹をクリスマス・ツリーのように、輝きで満たしている蛍の群を見た。一秒間に二回ぐらいか。パッパッと明滅するその壮観は、あらかじめ口で、いくら説明されていたとしても、絶対に想像できぬ素晴らしさであった。
本書を読むと、自分の知の世界が広がることの嬉しさとともに、自分の好きなことを追及することの大切さをすごく感じます。
虫に興味がない人でも、いや、虫に興味がない自分のような人こそ、本書は面白いのではないかと思います。
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