太郎さんはしぶしぶカラオケに行きましたが、いざ店に入り憧れのマドンナ大家さんの隣に座ってからだんだん元気になってきました。
やがていつもの調子に戻り盛り上がったのでした。
そしてお開きになって帰宅する頃、いつもの様に終電に間に合わずタクシーでの帰宅となったのでした。
一夜明けてから、太郎さんは大きなため息をつきました。
「昨晩は調子に乗ってお金使いすぎたな。終電に乗り遅れてタクシー代も余分に使ってしまった」
「今月はもうどこにも飲みに行けないなあ。でも、今週末は職場の忘年会だ。これは出ないわけには行かないから、今週は昼飯抜きで頑張ろう」
そうです。太郎さんはお金がなかったのです。
なぜなら契約金の為に借りた200万円の返済が今月から始まったからです。
月4万円の返済は当初は少額だと思ったものの、実際に返済が始まってみると未だ家賃収入が入らない状態では結構な負担になっています。
このローンの返済は給料から天引きされます。元々さほど多くない手取り給料が更に少なくなっているので、今回のカラオケもかなりの出費でした。
昔貯めた100万円は契約金の支払いに使ったので現在貯金がゼロの状態です。
そんな訳で昨晩はカラオケに行かないつもりでした。でも、仲間に腕を引かれて無理やり連れていかれたので仕方ありません。
さすがに能天気な太郎さんでも財布の中身が乏しいと元気がなくなります。
「そうだ、外で昼飯を食べると高いから花子に弁当を作らせよう」
早速花子さんに弁当をつくる様に頼みました。
「いやよ。自分の弁当だって作るの大変なのだから。とてもアニキの弁当まで作れないわ。どうしても作ってほしければ1食500円払って」
500円払う位ならば外で食べるのと変わりありません。
仕方なく、太郎さんは自分で残りご飯でおにぎりを作り会社に持っていくことにしたのでした。お茶は小学校時代に使っていた水筒に入れて持参することにしました。
「まあ、いいか。あと3か月もすれば建物が完成して家賃が入るからそれまでの辛抱だ。一旦家賃が入れば左うちわの生活が待っている」
太郎さんはそう自分に言い聞かせながら過ごしていました。
つづく




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