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■タイトル

一命


■あらすじ

戦国の世は終わり、平和が訪れたかのようにみえた江戸時代初頭、徳川の治世。その下では大名の御家取り潰しが相次ぎ、仕事も家もなくし生活に困った浪人たちの間で“狂言切腹”が流行していた。それは裕福な大名屋敷に押し掛け、庭先で切腹させてほしいと願い出ると、面倒を避けたい屋敷側から職や金銭がもらえるという都合のいいゆすりだった。そんなある日、名門・井伊家の門前に一人の侍が、切腹を願い出た。名は津雲半四郎(市川海老蔵)。家老・斎藤勘解由(役所広司)は、数ヶ月前にも同じように訪ねてきた若浪人・千々岩求女(瑛太)の、狂言切腹の顛末を語り始める。武士の命である刀を売り、竹光に変え、恥も外聞もなく切腹を願い出た若浪人の無様な最期を……。そして半四郎は、驚くべき真実を語り出すのだった……。


■感想

「狂言切腹」をテーマに「武士の生き様」に疑問を抱える作品。終始、暗く悲しいストーリーです。市川海老蔵演じる津雲半四郎の歌舞伎風な台詞回しが少しひっかかるものの、最後までじっくりと見入る事ができました。瑛太演じる千々岩求女の切腹シーンは思わず力んでしまいます。ラストのオチ、全てを含め面目や体裁に縛られ生きる武士の生き様とは何ぞや?と疑問を投げかけています。もちろん武士に二言はない、命を賭けて武士道を全うすると言う役所広司演じる斎藤勘解由に不適な笑みを浮かべる津雲半四郎。武士の面目を試し面目を潰したことを伝え、武士の面目とは名ばかりで体裁を気にすることしか考えていないのではないのか?と嘲笑う。最後のチャンバラシーンは竹でこの強さはさすがにありえないだろうと思いつつも緊迫感いっぱい。そのシーンで切り捨てた髷を踏み蹴り散らかす光景こそ、武士の地位や威厳、面目を保つという体裁だけを取り繕うことに必死で本質を忘れていることが良くわかります。話的には面目があるから狂言切腹を許さない側、面目や体裁ばかりで情けはないのかと憤る側、 津雲半四郎の慈悲をかけようと思わなかったのかとの言い分もわかりますが、斎藤勘解由は理由なんて全く知らなかったわけだし嘘ついて金を取ろうなどとは許せんって言い分は正論かと思います。しかし武士には武士の面目はありますが、武士の情けもある。難しいところですが、髷を取られた武士を切腹させた後に、最後の1分程度のワンシーンで全てがどんでん返し。まさに「武士の面目とは何ぞや?」となり終わるわけです。武士の象徴である赤備えの鎧を破壊された時点で武士として面目を潰された責任を取って切腹しなければならないわけですから。武士道の面目を一命を賭けて問う男の物語、誇りや面子を批判的な視点で伝えている映画だと感じました。オリジナル版の「切腹」も機会があったら見てみたいです。


■評価

★★★★☆



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