内田裕也には何かが足りない。

何かもう一つ、もう一つ付け加えれば完成しそうなのに。

何かもう一つ付け加えれば完成しそうな男だ内田裕也は。

しかしそれが何なのかまったく思い浮かばない。

歯ブラシか?コタツか?ファミコンの2コン?

ダメだ、全然ハマってこない。

もしかしたら内田裕也に何かを付け加えるという発想がもう間違っているのかもしれない。

内田裕也よりデカイものとセットにすればしっくりくるのかもしれない。

冷蔵庫から出てくる内田裕也なんてどうだ。

キンキンに冷えたシェキナベイベーを軽く人混ぜして一気に飲み干す。

一瞬にして脳裏に樹木希林の姿が現れるだろう。

しかしよく見てくれ、そいつは樹木希林じゃない。

草間彌生だよ!

水玉神、彌生だよ!

アウトサイダーの季節。
いつもの京浜東北線に乗っていたハズだ。

あのシルバーにブルーのラインが入った魅惑のボデーに。

電車を降りるとそこには広大な砂漠が広がっていた。

砂漠でラクダに乗り換えた。

ラクダの上は思いのほか揺れる。

コブとコブの間に颯爽と座ったはいいが、振動でこすれて鈍い痛みが体を突き抜けて行く。

しかしあくまでポーカーフェイスを貫かなければならない。

ここで焦ってしまうようではビジネスマンとして二流なのだ。

余裕の顔でいなければならない。

仮にも通勤中、変な顔をすれば表情によっては痴漢に間違われる危険もある。

もちろん獣姦の趣味などないし、特段ラクダをキュートだとも思わない。

コブに股間をこすりつけてはいるが、これは振動によるものであって決してセクシャルな動きではない。

そういうことも含めてポーカーフェイスを崩すわけにはいかない。

顔には特に注意しなければならないのだ。

しかしその時私は異変に気付いた。

なんと顔が庭なのだ。

顔が、庭だ。

表情どうこうの話ではない。
まいった、顔が庭だ。

どうやってもこりゃ庭だ、日本庭園だ。

鼻のところに生えた五葉松が風にそよいでいる。

その緑色の尖った葉っぱは鼻毛なのか

鼻毛と呼んでいいのか。

自分の顔から生えている線状の物が鼻毛なのか耳毛なのかもわからない状態だ。

こんなことではマズイ。

こんなことでは冷蔵庫の野菜が腐ってるかどうかも判断できない。

せめて目があればよかったが、

本来目があるべきところには栗があるのだ。

そりゃあ秋になれば栗ご飯も食べたいところだが、

この目なのか栗なのかわからない物をひん剥いて炊き込んで食べる勇気はない。

もし目だったら栗ご飯どころではないのだ。

痛みで味がわからなくなってしまう。

腹は満たされるがそれでは満足できない。

顧客満足度をないがしろにしてしまってはこの未曾有の不景気に耐えられない。

まいった、しかしまいった・・・