今、大学院生2年目。
電車も通ってない、中学は3年間クラス替えがないようなど田舎に生まれ、育って、高校は県内の進学校、そして隣県の地方大学に。
フラフラと大学院まで行ったから、今ブログを書いてるこの家ももう6年目。
親が教師。勉強は好きじゃなかったけどやればそこそこできたし、大学まで野球してて、キャプテンやったり副キャプテンやったり。仲良い友達集団に所属して。
教師になる奴のテンプレみたいな人生を歩んできた。
20歳ぐらいまでは、自分の人生に疑いはなかった。
身の丈にあった夢に納得していた。
自分に気付かないような世の中の制度という仕掛けにハマり、楽しく生きていた。
起こるべくして起こったようなことは何度かあった。
中学、初めてできた親友に1年半かけて騙される。女友達が多い、自分のことを愛称で呼ぶ変なヤツだった。だけど田舎者の集まりの中ではどこか進んでて、オシャレが好きだった。ソイツの影響で服が好きになった。ソイツは病気で、よく過呼吸になるから背中をさすってた。授業を抜け出して体育館の更衣室でしゃがみ込むソイツを探して看病したこともあった。ソイツの主治医からメールが届くようになった。
「○○君の主治医の○○と申します。彼からよくキミのお話を聞いています。いつも面倒を見てくれているようで。正直な話、キミがいるから学校にも行かせることができます。○○君を助けられるのはキミしかいない。どうか私からも頼みます。」
使命だと思った。たかが14、5歳。自分に課せられた使命。自分が生まれた意味はこれだ。
「先生に言っちゃうと、学校に来られなくなるかもしれない。他の友達にも、変な目で見られたくない。○○しか信頼できない。お願い、みんなには黙ってて。」
「分かった。任せろ。」
ソイツは僕にとって特別で、僕もソイツにとって特別だ。誰にも知られなくていい、僕は英雄になる。
「どうかアイツの病気が治りますように。お願いします。何でもします。お願いします。」
仏壇の前で手を合わせ祈った。加速する使命感。使命のためなら、人間はヘンテコなパワーを発揮する。僕は無敵だった。
「○○、少し話があるんだけど。」
少しずつ様子が変わっていく息子に母は勘付き、行動を起こしていた。
「最近少し変だなと思って、申し訳ないけど昨日○○のメール見ちゃったの。正直に言うよ。○○君のアレ、おかしいのよ。」
「おかしいって何だよ」
「病院の先生から普通メールなんてこないし、仮にあったとしても親である私には連絡が入るはず。怪しいし、文章も変。言いにくいけど、騙されてる、○○君に。」
次の日、担任の先生と母と僕で話し合いが行われた。
使命は、終了した。
ヤツは泣いてた。
ごめんなさい。ごめんなさい。ごめんなさい。
見合う感情が見つからなかった。
怒りにしようと思ったけど、何か違う感じがした。
よく分からない。
ヤツの病気がいっそ嘘なら。そう思ったこともあった。本当に嘘だった。
僕のお願いは届き、使命は終わった。
英雄になるはずだった僕は、なんだか可哀想な子になった。
MDに入れたブルーハーツをよく聴いた。
運転手さんそのバスに、僕も乗っけてくれないか。行き先なら、どこでもいい。
僕は、向井秀徳氏の言葉を借りれば「毒個性」を持った人を愛する傾向がある。
向井氏はマイルスを挙げていたが、僕にとってそれは元ゆらゆら帝国坂本慎太郎であったり、アル中作家中島らもであったり、ラッパー鎮座DOPENESSであったり、向井氏ももちろん、ビートニク作家達や女狂い、ヤク中の偉人達もそう。
3年前、21歳ぐらいの夏に姉が鬱になって物事を必死で考えようとしだした。
ニーチェの言う「人生を実験として捉える」ことに痺れた。
愛に目覚めた気がした。
全てを捨てた気分だった。
煙草を吸うようになった。
本も読むようになった。
指輪を作るようになった。
毎日を喫茶店で過ごすようになり、月の半分は居酒屋にいるような生活になった。
弱いところや恥ずかしいところを見せられる彼女が初めてできた。
昔からの友達がそばからいなくなった。
新しい友達ができた。
大学院進学は、つまらない人生のレールを外す下地作りのため。
そう思ってた。
だけど現状はただのロスタイム。
甘えたのだろう。
でも、努力じゃない。
なんだか違う。
全部違う。
書きながら気持ちが変わってきた。
あと半年もない。
なんだか違うぞ。
なにがなんだか!