4 サッカーボールをその鼻に
ツカモチ「お願いします~誰かいませんかぁ」
ツカモチ・ドヴォルザークは未だに嘆いていました。なかなか頑固な腰痛のようです。
ツカモチ「あぁー腰痛で動けなくて死んでしまうなんて無念ですねぇー」
ツカモチ「私が死んだらきっと素通りした皆さんが悪いってことになりますよふふ」
ツカモチ「……」
ツカモチ「わかりましたっ、もう、ね、年寄りってことは認めますから、誰か……」
ツカモチ・ドヴォルザークは必死で訴えましたが、その叫びは寂しく響き渡るだけでした。
ツカモチ「もう~やだっ!みんなとはもう口利かない!」
と、そこへ一人の若者がやって来ました。
「えっ!?こんなところに塚本!?」
ツカモチ「誰ですかぁあなた?わたし塚本じゃないですよ、ツカモチ・ドヴォルザークです」
「何かっこよさげな名前名乗ってんの?こんなとこで何してるんですか」
ツカモチ「腰痛で立てなくて困ってるんですよー、さっきから助けを求めてるのにだーれも助けてくれないんですねこれが」
「えっ、もしかして知らないの?ここの街は耳が聞こえない種族が住む街だから何言ってもムダなんだよ」
ツカモチ「そうだったんですか?あぁ~何だぁ、そっかそっか」
ツカモチ・ドヴォルザークは理不尽な理由にあっさり納得してしまいました。
「結構有名なんだけどこの街」
ツカモチ「もちろん知ってましたよこの街のことは。ただ耳が聞こえない種族のことはサッパリでしたねぇ。偉人がたぁくさんいるくらいしか知らなかったです」
「正確には、そのたくさん偉人がいるっていうのも間違いなんだけど。本当は一人だけ」
ツカモチ「あら~それじゃわたし何も知らなかったってことですね、あらぁ……」
「どんまいだ」
ツカモチ「え、じゃあ何、耳が聞こえない種族のコミュニケーションの取り方は何なんですか?」
「彼等は心の会話を交わすことが出来るんです」
ツカモチ「へぇー。手話とかじゃないんですね。……あれ、ちょっと話戻りますけど、いいですか?目は見えるんですよね?それならわたしさっき手振りとかも一所懸命つけて助けを求めたんですけど、異変とかそういうのには気付かないの?」
「彼等は部外者との接触をあまり好まないんです。ここ数年、外から来た人はいなかったし」
ツカモチ「そうだったんですか……何かすごく運悪いような、何かねっ」
「それに今は…」
若者が言いかけたそのとき、遠くから誰かに声をかけられました。
ツカモチ「誰でしょう?」
「ばばあーーーーっ!!」
ツカモチ「あらっ!ちょっと、サカナじゃないですか!何やってんのこんなとこでー」
なんと、勇者をジャガイモまみれにした若者はあの世紀の最強純粋者、サカナ・ジャガターテリーだったのです。
サカナ・ジャガターテリーは猛SPEEDでツカモチ・ドヴォルザークのところへ駆けて行きました。
サカナ「はぁ……はぁ……おいツカモチ!お前こそ腰なんか抜かしてだらしねーなツカモチのくせに」
ツカモチ「わたしだからこそじゃないですか」
サカナ「何ふざけたこと言ってんだ。って重すぎ!マジジャガイモ!!」
サカナは背中に担いでいた勇者を乱暴に地面へ降ろしました。
ツカモチ「勇者まで腰を悪くしたらどうするんですかぁ、ちょっと乱暴だよ?」
サカナ「こいつ誰?」
サカナ・ジャガターテリーはツカモチ・ドヴォルザークの言葉を無視し、若者へ問いかけました。
「俺?……俺の名前はハナクソ・ピーン」
サカナ「爆笑!!!!ハナクソ・ピーンとかどんだけよ!!」
ツカモチ「人の名前を笑うもんじゃないでしょぉ~」
ツカモチ・ドヴォルザークも少なからず微笑していました。
「いや笑うなよ、これは通称みたいなもんで、ホントはオマツ・チリーゲなの!」
ツカモチ「オマツ・チリーゲ!?ってことは例のサッカーボールを鼻に詰める偉人じゃないですか!」
オマツ「いかにも」
サカナ「マジかよ!つーかサッカーボールよりジャガイモだろ常識的に考えて!!」
オマツ「これでわかっただろ、さっきも言ったように、この街で偉人はただ一人。つまり俺ね。部外者で相手にされなかったけど、鼻にサッカーボールを詰めてみせたらみんな歓迎してくれて、それで有名になったってわけ。わかる?」
サカナ「すごくわかる」
ツカモチ「いや~感激ですね、まさか会えると思ってなかったですよ。この腰のおかげですねっ」
サカナ「関係ねーし!そんなことより早く新しいサロンパス!おい起きろこのデクの棒!!」
サカナは勇者を思い切り蹴りとばしました。
『うっ……』
ツカモチ「勇者さーん、起きてくださーい」
オマツ(勇者って何だろう……何かのごっこ?)
『……ここは……?』
勇者は意識を朦朧とさせながらも、身体中についたジャガイモの残骸に気づくと、さっさと払い除けました。
サカナ「わざわざばばあの所まで連れてきてやったんだぜ!さっさとサロンパス出してくんない?」
『お前は…!おいツカモチ、こいつはアブラの手先に違いな』
ツカモチ「違いますよ、この人はサカナ・ジャガターテリーです。姫様が言ってたあのサカナですよ」
『こいつが三大戦士!?嘘だろ!』
サカナ「ホントに決まってんじゃん」
『何でここにいるんだよ…城にいなくて大丈夫なのか?』
サカナ「ハゲがいるから大丈夫!何でここにいるかって?それは……」
サカナ・ジャガターテリーはしばらくの間考え込みました。
サカナ「そうだ重大なことを思い出した!!ツカモチに伝えなきゃいけないことがあって来たんだめんどくせー!」
ツカモチ「え、そうだったんですか?何だそれなら早く言ってくれればいいのにぃ。で、重大なことって何ですか?」
サカナ「おいデクの棒、お前にとっても大事なことだからしっかり聞いとけよマジ!!」
『……わかった』
そのとき、オマツ・チリーゲは話の内容が飲み込めず、ただそこに立っていることしか出来ませんでした。
しかし、サカナ・ジャガターテリーが話そうとしていることは、オマツ・チリーゲにとっても、いや、世界の人々に関わる、本人が言う以上にとても重大なことだったのです。
続く
ツカモチ・ドヴォルザークは未だに嘆いていました。なかなか頑固な腰痛のようです。
ツカモチ「あぁー腰痛で動けなくて死んでしまうなんて無念ですねぇー」
ツカモチ「私が死んだらきっと素通りした皆さんが悪いってことになりますよふふ」
ツカモチ「……」
ツカモチ「わかりましたっ、もう、ね、年寄りってことは認めますから、誰か……」
ツカモチ・ドヴォルザークは必死で訴えましたが、その叫びは寂しく響き渡るだけでした。
ツカモチ「もう~やだっ!みんなとはもう口利かない!」
と、そこへ一人の若者がやって来ました。
「えっ!?こんなところに塚本!?」
ツカモチ「誰ですかぁあなた?わたし塚本じゃないですよ、ツカモチ・ドヴォルザークです」
「何かっこよさげな名前名乗ってんの?こんなとこで何してるんですか」
ツカモチ「腰痛で立てなくて困ってるんですよー、さっきから助けを求めてるのにだーれも助けてくれないんですねこれが」
「えっ、もしかして知らないの?ここの街は耳が聞こえない種族が住む街だから何言ってもムダなんだよ」
ツカモチ「そうだったんですか?あぁ~何だぁ、そっかそっか」
ツカモチ・ドヴォルザークは理不尽な理由にあっさり納得してしまいました。
「結構有名なんだけどこの街」
ツカモチ「もちろん知ってましたよこの街のことは。ただ耳が聞こえない種族のことはサッパリでしたねぇ。偉人がたぁくさんいるくらいしか知らなかったです」
「正確には、そのたくさん偉人がいるっていうのも間違いなんだけど。本当は一人だけ」
ツカモチ「あら~それじゃわたし何も知らなかったってことですね、あらぁ……」
「どんまいだ」
ツカモチ「え、じゃあ何、耳が聞こえない種族のコミュニケーションの取り方は何なんですか?」
「彼等は心の会話を交わすことが出来るんです」
ツカモチ「へぇー。手話とかじゃないんですね。……あれ、ちょっと話戻りますけど、いいですか?目は見えるんですよね?それならわたしさっき手振りとかも一所懸命つけて助けを求めたんですけど、異変とかそういうのには気付かないの?」
「彼等は部外者との接触をあまり好まないんです。ここ数年、外から来た人はいなかったし」
ツカモチ「そうだったんですか……何かすごく運悪いような、何かねっ」
「それに今は…」
若者が言いかけたそのとき、遠くから誰かに声をかけられました。
ツカモチ「誰でしょう?」
「ばばあーーーーっ!!」
ツカモチ「あらっ!ちょっと、サカナじゃないですか!何やってんのこんなとこでー」
なんと、勇者をジャガイモまみれにした若者はあの世紀の最強純粋者、サカナ・ジャガターテリーだったのです。
サカナ・ジャガターテリーは猛SPEEDでツカモチ・ドヴォルザークのところへ駆けて行きました。
サカナ「はぁ……はぁ……おいツカモチ!お前こそ腰なんか抜かしてだらしねーなツカモチのくせに」
ツカモチ「わたしだからこそじゃないですか」
サカナ「何ふざけたこと言ってんだ。って重すぎ!マジジャガイモ!!」
サカナは背中に担いでいた勇者を乱暴に地面へ降ろしました。
ツカモチ「勇者まで腰を悪くしたらどうするんですかぁ、ちょっと乱暴だよ?」
サカナ「こいつ誰?」
サカナ・ジャガターテリーはツカモチ・ドヴォルザークの言葉を無視し、若者へ問いかけました。
「俺?……俺の名前はハナクソ・ピーン」
サカナ「爆笑!!!!ハナクソ・ピーンとかどんだけよ!!」
ツカモチ「人の名前を笑うもんじゃないでしょぉ~」
ツカモチ・ドヴォルザークも少なからず微笑していました。
「いや笑うなよ、これは通称みたいなもんで、ホントはオマツ・チリーゲなの!」
ツカモチ「オマツ・チリーゲ!?ってことは例のサッカーボールを鼻に詰める偉人じゃないですか!」
オマツ「いかにも」
サカナ「マジかよ!つーかサッカーボールよりジャガイモだろ常識的に考えて!!」
オマツ「これでわかっただろ、さっきも言ったように、この街で偉人はただ一人。つまり俺ね。部外者で相手にされなかったけど、鼻にサッカーボールを詰めてみせたらみんな歓迎してくれて、それで有名になったってわけ。わかる?」
サカナ「すごくわかる」
ツカモチ「いや~感激ですね、まさか会えると思ってなかったですよ。この腰のおかげですねっ」
サカナ「関係ねーし!そんなことより早く新しいサロンパス!おい起きろこのデクの棒!!」
サカナは勇者を思い切り蹴りとばしました。
『うっ……』
ツカモチ「勇者さーん、起きてくださーい」
オマツ(勇者って何だろう……何かのごっこ?)
『……ここは……?』
勇者は意識を朦朧とさせながらも、身体中についたジャガイモの残骸に気づくと、さっさと払い除けました。
サカナ「わざわざばばあの所まで連れてきてやったんだぜ!さっさとサロンパス出してくんない?」
『お前は…!おいツカモチ、こいつはアブラの手先に違いな』
ツカモチ「違いますよ、この人はサカナ・ジャガターテリーです。姫様が言ってたあのサカナですよ」
『こいつが三大戦士!?嘘だろ!』
サカナ「ホントに決まってんじゃん」
『何でここにいるんだよ…城にいなくて大丈夫なのか?』
サカナ「ハゲがいるから大丈夫!何でここにいるかって?それは……」
サカナ・ジャガターテリーはしばらくの間考え込みました。
サカナ「そうだ重大なことを思い出した!!ツカモチに伝えなきゃいけないことがあって来たんだめんどくせー!」
ツカモチ「え、そうだったんですか?何だそれなら早く言ってくれればいいのにぃ。で、重大なことって何ですか?」
サカナ「おいデクの棒、お前にとっても大事なことだからしっかり聞いとけよマジ!!」
『……わかった』
そのとき、オマツ・チリーゲは話の内容が飲み込めず、ただそこに立っていることしか出来ませんでした。
しかし、サカナ・ジャガターテリーが話そうとしていることは、オマツ・チリーゲにとっても、いや、世界の人々に関わる、本人が言う以上にとても重大なことだったのです。
続く
3 迫り来る恐怖?
ツカモチ「なんかわたしまずいことでも言いましたかねぇ~…あたた」
ツカモチ・ドヴォルザークは勇者に突き飛ばされた衝撃でまたまた腰痛が始まり、その場から動けないでいたのでした。
ツカモチ「どーうしましょ。あのぉ誰か応援歌を歌ってくれる人いませんかぁ」
ツカモチ・ドヴォルザークは通りすぎる人々に助けを求めましたが、誰も声をかけてはくれませんでした。
ツカモチ「素通りなんてひどい人達ですね~アレですよ、サロンパスくれるだけでもいいんですよ」
一方その頃勇者は…。
『ちょっと言い過ぎたかな……。い、いや悪いのはあっちだ!図々しく早くサロンパスをくれれば良かったとか言いやがってちくしょー!!絶対こっちから謝ってやらないんだからねっ!!』
「おいお前!」
『あ、はい何か?』
「お前さっきばばあを突き飛ばしたよな!?」
『そうですがそれがどうかしたんですか?』
「どうかしたんですかじゃねーだろ!!マジじゃがいも!!」
『…は?あんたココがいかれてるんじゃないのか?』
「何お前マジ失礼なヤツ!!とにかくな、今すぐあのばばあの所に行って謝れ!」
『何でみずしらずのあんたにそんなこと言われなきゃならないんだよ。言っとくけどね、僕は謝る気なんてサラサラありません』
「言ったなあああ!?これでも喰らえ!ジャガイモローリングサンダーーー!!」
若者がそう言うと、たちまちジャガイモの竜巻が起こり、勇者のあちこちにジャガイモが直撃しました。
『うぐぁっ!!』
勇者は3mほど吹き飛ばされ、辺りにはジャガイモの残骸が散らばりました。
『い、いきなり何すん…ぐふっ』
「あぁー貴重なジャガイモが…」
『ま、まさかアブラの手先…』
「んー!?何か言ったぁ!?よく聞こえない!」
『…ぐ…お、お前はアブラの手先なのか!!』
「は?俺が?爆笑!!なわけねーし!つーか爆笑しちゃったけどマジ腹立つ!あんな奴の手下なわけねーだろ!なわけねーし!ジャガイモだし!」
『じゃあ何故……』
「まぁいいや。お前も当分動けないだろうから、俺がばばあのところまで運んで行ってやるよ!」
『や…やめ……』ガクッ
勇者はそのまま気を失ってしまいました。この若者は一体何者なのでしょうか…。
そしてツカモチ・ドヴォルザークの腰痛はいかに。
続く
ツカモチ・ドヴォルザークは勇者に突き飛ばされた衝撃でまたまた腰痛が始まり、その場から動けないでいたのでした。
ツカモチ「どーうしましょ。あのぉ誰か応援歌を歌ってくれる人いませんかぁ」
ツカモチ・ドヴォルザークは通りすぎる人々に助けを求めましたが、誰も声をかけてはくれませんでした。
ツカモチ「素通りなんてひどい人達ですね~アレですよ、サロンパスくれるだけでもいいんですよ」
一方その頃勇者は…。
『ちょっと言い過ぎたかな……。い、いや悪いのはあっちだ!図々しく早くサロンパスをくれれば良かったとか言いやがってちくしょー!!絶対こっちから謝ってやらないんだからねっ!!』
「おいお前!」
『あ、はい何か?』
「お前さっきばばあを突き飛ばしたよな!?」
『そうですがそれがどうかしたんですか?』
「どうかしたんですかじゃねーだろ!!マジじゃがいも!!」
『…は?あんたココがいかれてるんじゃないのか?』
「何お前マジ失礼なヤツ!!とにかくな、今すぐあのばばあの所に行って謝れ!」
『何でみずしらずのあんたにそんなこと言われなきゃならないんだよ。言っとくけどね、僕は謝る気なんてサラサラありません』
「言ったなあああ!?これでも喰らえ!ジャガイモローリングサンダーーー!!」
若者がそう言うと、たちまちジャガイモの竜巻が起こり、勇者のあちこちにジャガイモが直撃しました。
『うぐぁっ!!』
勇者は3mほど吹き飛ばされ、辺りにはジャガイモの残骸が散らばりました。
『い、いきなり何すん…ぐふっ』
「あぁー貴重なジャガイモが…」
『ま、まさかアブラの手先…』
「んー!?何か言ったぁ!?よく聞こえない!」
『…ぐ…お、お前はアブラの手先なのか!!』
「は?俺が?爆笑!!なわけねーし!つーか爆笑しちゃったけどマジ腹立つ!あんな奴の手下なわけねーだろ!なわけねーし!ジャガイモだし!」
『じゃあ何故……』
「まぁいいや。お前も当分動けないだろうから、俺がばばあのところまで運んで行ってやるよ!」
『や…やめ……』ガクッ
勇者はそのまま気を失ってしまいました。この若者は一体何者なのでしょうか…。
そしてツカモチ・ドヴォルザークの腰痛はいかに。
続く
2 腰痛
二人は広い草原を歩いていました。アブラカタブラ帝国までの道はまだまだ遠いです。
ツカモチ「それにしても何もないところですねぇ。草原ばかり、ですね」
『そのうち街が見えてくるよ』
ツカモチ「お城の外に出るの何年振りだろう?5年前だったかなぁ…?」
『それはひどい。戦士なのに城に引き篭っているとはどういうことだ』
ツカモチ「こっちにも色々あるんですよー、特にあれだね、禿兵士との戦闘は大分疲れるね」
『禿兵士って禿げてるの?』
ツカモチ「ちょっと薄いって感じですよ」
『ふーん。ところでツカモチの得意技って何かある?』
ツカモチ「色々ありますよ、跳び膝下痢とか」
『嘘!?すげぇ……俺でも出来ないのに』
ツカモチ「ちょっと恥ずかしい技ですけどねぇ。おまけに命中率が低いんですよー、だからしょっちゅうは使いませんね」
『恥ずかしい?まぁ闘うときになったらよろしく』
ツカモチ「頑張りますよ!」
しばらく歩くと街が見えてきました。
『街だ!』
ツカモチ「あーようやく見えてきましたね、あそこは変わり者が多い街なんですよ、知ってました?」
『いや知らないなぁ。どんな変わり者が多いの?』
ツカモチ「鼻にサッカーボールを詰める偉人がいたりするんですよ!すごいでしょう」
『人間なのそれ?サッカーボールチョコならわかるけど……』
ツカモチ「それがホントのサッカーボールなんですよ」
『それって変わり者の域を超えてるよね』
ツカモチ「まぁそうですね。とにかくあの街は面白い街ですよ、ゆっくり見て行きたいですねぇ」
『悪いけどそんな暇はないよ』
ツカモチ「残念ですね」
順調に歩を進めていた二人でしたが、街へ辿り着くまであと一歩というところで突然ハプニングが起きてしまいしました。
ツカモチ「あっ」
『どうしたツカモチ』
ツカモチ「あーダメだダメだ、ダメですねこれは…」
『何がダメなんだい?早く歩こうよ』
ツカモチ「あの、ちょっと待って下さいね、あた~……」
『い、一体ツカモチの身に何が起こったというんだ!ハッ……ま、まさか…そのポーズは……!!』
ツカモチ「便秘じゃないですからね、腰痛ですよ腰痛」
『戦士にはあってはならないことだ……』
勇者は放心しました。
『やっぱ禿兵士にすれば良かった……』
ツカモチ「禿兵士はやめたほうがいいですよ、私達三人の中でも問題児でしたからね」
『禿兵士が問題児なら貴様は耳毛以下だ…』
ツカモチ「何ですかそれ」
『とにかく、その腰痛をなんとかしないとこれから色々と面倒じゃないか。闘うこともままならない……今だって早くしないと日が暮れちまう』
ツカモチ「腰痛はどうにもなりませんねぇ。応援歌があればわりかしマシになるんですけどねぇ……」
『応援歌?』
ツカモチ「応援歌。歌ってもらえる?」
『歌詞による』
ツカモチ「塚バァ~がやらな~きゃ誰がや~る♪……ってのなんですけど。どうですか?」
『それで腰痛が治まるなら…歌うよ』
ツカモチ「ホントですかぁ~助かりますねぇ。それじゃあよろしく」
『塚バァ~がやらな~きゃ誰がや~る塚バァ~がやらな~きゃ誰がや~る塚バァ~がやらな~きゃ誰がや~る』
勇者は懸命に歌い続けました。その甲斐があって、ツカモチ・ドヴォルザークの腰の痛みはたちまち引き、再び歩けるようになりました。
ツカモチ「あぁホント助かりました。ありがとね」
『塚バァ~がやらな~きゃ誰がや~る』
ツカモチ「大分時間を食っちゃったんで急ぎましょうか」
『塚バァ~がやらな~きゃ誰がや~る』
ツカモチ「申し訳ないですねぇ~でもすごく活気がみなぎってきたというか、体がシャキッとしてきましたよ」
『塚バァ~がみなぎってきたというか塚バァ~がみなぎってきた』
ツカモチ「あれっ、私の言葉に釣られてますよアハハ。アレだね、あんまり喋らないほうがいいね」
『塚バァ~がやらな~きゃ誰がや~る……』
勇者はイライラしながらも、応援歌を歌い続けながらツカモチ・ドヴォルザークと共に街を目指して歩いていきました。
『やっとついた…ちくしょう声が枯れて喉が痛いぜ』
ツカモチ「いやすいませんね。でもそれなら早くサロンパスを渡してくれれば良かったのにぃ」
『図々しい老婆め……』
ツカモチ「ひどい人ですねぇ……」
勇者が持っていたサロンパスのおかげで、どうにか応援歌を歌わずに済むようになったのでした。
しかし二人の間には少しばかりの溝ができてしまったのです。
ツカモチ「とりあえずアレだね、お腹が空きましたね」
『そうですね』
ツカモチ「何処かお店に入りましょうか?」
『自分の耳毛でも食ってろ!!』
勇者はそう言うと、ツカモチ・ドヴォルザークの体を突き飛ばして、何処かへ走り去っていきました。
突き飛ばされたツカモチ・ドヴォルザークは地面に倒れ、走り去ってゆく勇者の背中をそのまま黙って見つめていました。
続く
ツカモチ「それにしても何もないところですねぇ。草原ばかり、ですね」
『そのうち街が見えてくるよ』
ツカモチ「お城の外に出るの何年振りだろう?5年前だったかなぁ…?」
『それはひどい。戦士なのに城に引き篭っているとはどういうことだ』
ツカモチ「こっちにも色々あるんですよー、特にあれだね、禿兵士との戦闘は大分疲れるね」
『禿兵士って禿げてるの?』
ツカモチ「ちょっと薄いって感じですよ」
『ふーん。ところでツカモチの得意技って何かある?』
ツカモチ「色々ありますよ、跳び膝下痢とか」
『嘘!?すげぇ……俺でも出来ないのに』
ツカモチ「ちょっと恥ずかしい技ですけどねぇ。おまけに命中率が低いんですよー、だからしょっちゅうは使いませんね」
『恥ずかしい?まぁ闘うときになったらよろしく』
ツカモチ「頑張りますよ!」
しばらく歩くと街が見えてきました。
『街だ!』
ツカモチ「あーようやく見えてきましたね、あそこは変わり者が多い街なんですよ、知ってました?」
『いや知らないなぁ。どんな変わり者が多いの?』
ツカモチ「鼻にサッカーボールを詰める偉人がいたりするんですよ!すごいでしょう」
『人間なのそれ?サッカーボールチョコならわかるけど……』
ツカモチ「それがホントのサッカーボールなんですよ」
『それって変わり者の域を超えてるよね』
ツカモチ「まぁそうですね。とにかくあの街は面白い街ですよ、ゆっくり見て行きたいですねぇ」
『悪いけどそんな暇はないよ』
ツカモチ「残念ですね」
順調に歩を進めていた二人でしたが、街へ辿り着くまであと一歩というところで突然ハプニングが起きてしまいしました。
ツカモチ「あっ」
『どうしたツカモチ』
ツカモチ「あーダメだダメだ、ダメですねこれは…」
『何がダメなんだい?早く歩こうよ』
ツカモチ「あの、ちょっと待って下さいね、あた~……」
『い、一体ツカモチの身に何が起こったというんだ!ハッ……ま、まさか…そのポーズは……!!』
ツカモチ「便秘じゃないですからね、腰痛ですよ腰痛」
『戦士にはあってはならないことだ……』
勇者は放心しました。
『やっぱ禿兵士にすれば良かった……』
ツカモチ「禿兵士はやめたほうがいいですよ、私達三人の中でも問題児でしたからね」
『禿兵士が問題児なら貴様は耳毛以下だ…』
ツカモチ「何ですかそれ」
『とにかく、その腰痛をなんとかしないとこれから色々と面倒じゃないか。闘うこともままならない……今だって早くしないと日が暮れちまう』
ツカモチ「腰痛はどうにもなりませんねぇ。応援歌があればわりかしマシになるんですけどねぇ……」
『応援歌?』
ツカモチ「応援歌。歌ってもらえる?」
『歌詞による』
ツカモチ「塚バァ~がやらな~きゃ誰がや~る♪……ってのなんですけど。どうですか?」
『それで腰痛が治まるなら…歌うよ』
ツカモチ「ホントですかぁ~助かりますねぇ。それじゃあよろしく」
『塚バァ~がやらな~きゃ誰がや~る塚バァ~がやらな~きゃ誰がや~る塚バァ~がやらな~きゃ誰がや~る』
勇者は懸命に歌い続けました。その甲斐があって、ツカモチ・ドヴォルザークの腰の痛みはたちまち引き、再び歩けるようになりました。
ツカモチ「あぁホント助かりました。ありがとね」
『塚バァ~がやらな~きゃ誰がや~る』
ツカモチ「大分時間を食っちゃったんで急ぎましょうか」
『塚バァ~がやらな~きゃ誰がや~る』
ツカモチ「申し訳ないですねぇ~でもすごく活気がみなぎってきたというか、体がシャキッとしてきましたよ」
『塚バァ~がみなぎってきたというか塚バァ~がみなぎってきた』
ツカモチ「あれっ、私の言葉に釣られてますよアハハ。アレだね、あんまり喋らないほうがいいね」
『塚バァ~がやらな~きゃ誰がや~る……』
勇者はイライラしながらも、応援歌を歌い続けながらツカモチ・ドヴォルザークと共に街を目指して歩いていきました。
『やっとついた…ちくしょう声が枯れて喉が痛いぜ』
ツカモチ「いやすいませんね。でもそれなら早くサロンパスを渡してくれれば良かったのにぃ」
『図々しい老婆め……』
ツカモチ「ひどい人ですねぇ……」
勇者が持っていたサロンパスのおかげで、どうにか応援歌を歌わずに済むようになったのでした。
しかし二人の間には少しばかりの溝ができてしまったのです。
ツカモチ「とりあえずアレだね、お腹が空きましたね」
『そうですね』
ツカモチ「何処かお店に入りましょうか?」
『自分の耳毛でも食ってろ!!』
勇者はそう言うと、ツカモチ・ドヴォルザークの体を突き飛ばして、何処かへ走り去っていきました。
突き飛ばされたツカモチ・ドヴォルザークは地面に倒れ、走り去ってゆく勇者の背中をそのまま黙って見つめていました。
続く