「対人援助職」として身につけておかなければならない基本的なことの一つに

「自己覚知」があります。

 

 

「自己覚知」

自分を知ること。

自分のことをよく把握すること。

客観的に自分自身をみること。

 

 

ご利用者の方の支援を行わせていただく際に、

その方の価値観や人生観などを先入観なく受けとめていく必要がありますが、

そのためには、支援者が自分自身の性格や考え方、モノゴトのとらえ方、受け取り方、リアクションの仕方などを自覚しておく必要があります。

 

同じ出来事でも、人によって感じ方、とらえ方、見方が異なるものです。

他人は、自分とは異なるモノの見方をするものだということを認識しておかないと、

ご利用者、ご家族の方の言動、行動等を適切に受け止めていくことができません。

 

人間は誰しも、自分の価値観といったフィルター、色メガネ、モノサシを通してモノを見ています。

そのことを認識しておかないと、

自分の価値観をご利用者の方に押し付けてしまうことにもなりかねません。


自分がよいと思ったことでも、ご利用者の方はよいと思っていないかもしれません。

ご利用者の納得をえない状態で、「私が支援してやっているんだ、これが正しいんだ!」と押し付けてしまうような介入は、専門職としての支援とはいえませんね。

 

自分の「考え方のくせ」を認識した上で、

ご利用者の方と関わることで、適切な支援を行っていくことができるはずです。

 

そして、

自分自身をよく知っておくことは、

対人援助での仕事の場面だけにとどまらず、

「よりよく生きていく」…という上でも必要なことですね。

 

ついついイライラしてしまいがちな環境におかれているコロナ禍の現在ですが、

自分自身を省みることによって、

よりよい方向へと向かっていくことができるかもしれません。

 

心理学の知見に「ABC理論」というものがあります。

「モノゴトのとらえ方」という点で共通点があります。

 

         

A(出来事)→B(とらえ方)→C(感情)


A 人生ではいろいろなことが身に降りかかってくる。

B しかし、それをどうとらえるかは、自分の意志のもとにある。

C とらえ方によって、起こる感情や気持ちを望ましいほうへともっていくことができる。

 

例えば、

A出来事(レストランの定員が注文を間違えた)

        ↓

Eさん

…B(混雑時に注文を間違えることもあるだろう。自分だってミスすることはあるもんな)→ C(怒ってもしょうがない。午後もいつものように仕事をがんばろう。)

Fさん

…B(客の注文を取り間違えるなんて何をやっているんだ!)→C(あ~腹が立つ!午後は仕事にならん!)

 

 

「何を幸福と考え、何を不幸と考えるか。その考え方が幸不幸の分かれ目なのである。」…アンドリュー・カーネギー

 

(参考)

ABC理論はアルバート・エリスの論理療法の中で提唱されています。

 

 

 

『7つの習慣』(成功には原則があった)について

 

 

(参考)