【長野】子宮頸がんワクチン推奨中止で波紋
読売新聞 6月18日(火) 配信


 子宮頸がんワクチンの接種後に、体の痛みや歩行障害などの重い副作用を訴える人が相次いでいるとして厚生労働省が14日、一時的に接種の推奨を控える方針を決めたことで、県内の各地自体も対応に追われている。

 県内では17日、推奨中止の動きが本格化した。長野市保健所は同日の定例市議会の常任委員会で、月内にも接種対象の小6-高1の女子に文書を送付して周知する方針を明らかにした。

 市では2011年3月-今年3月に約9000人が接種した。接種は通常3回のため、まだ約5500人が終了していない。「接種を続けるかどうかの判断材料にしてほしい」として、効果の一方で副作用があることを明記する。

 市保健所には問い合わせも複数寄せられ、既に1-2回接種した女子生徒の親が接種を継続すべきか相談してきたケースもあった。

 市によると、13-16歳の3人が接種直後、病院内で気を失ったことがあるという。全国的に報告されている原因不明の慢性的な痛みなど、重い副作用には当たらないとしている。

 このほか、14日夜にホームページで情報提供を始めた松本市は18日、市内の小中学校の校長が集まる校長会で推奨中止を伝える。5月に中学生約10人が集団接種を行った栄村は、2回目以降の通知は出さない方針で、長野市と同様に各家庭に文書を配布し、接種希望者は個別に対応する。

 厚労省によると、3月末までに全国で推計328万人に接種され、重い副作用の報告があったのは357件。同省は14日に開かれた有識者検討会の議論も踏まえ、「積極的な勧奨を一時的に差し控える」と方針転換した。同ワクチンは今年4月、小6-高1は原則無料で受けられる「定期予防接種」になった