自分だけが踊らされているようで、馬鹿馬鹿しい。
別に、相手が悪いわけではない。こちらが勝手にやったことだ。
今日読んだ仏教の本には、世の中には判断しない方がいい選択肢もあるのだと書いてあったが、改めてそれを思い知った気がする。
時は11時くらいに遡るが、
大学の一コマが終わって、図書室に行こうとした瞬間、偶然にもしばらく会わなかった先輩に話しかけられた。
その先輩とは、入学直後にある大学の説明会みたいなところで、私に話しかけてくれた人なので、少なからず恩を感じている。
いろんな人と出会えたのも、陽キャグループのラインのグループに参加することができたのも、全てその人が手引きしてくれたからである。
要は、あのままでは、隠キャまっしぐらのキャンパスライフから救ってくれた救世主である。
自分から率先して話をしたがらない私に、いつも手を差し伸べてれる。そんな人だ。
一緒にどう?とか、おう、いたのか。こっちおいでよ、と誘ってくれる。
それが最後に会った時の印象だった。
だが、どうやら、久しぶりにあえて高揚しているのは、私だけのようだった。
むしろ、その元気のない彼の瞳に少し恐怖を感じた。
低血圧な表情に、冷気に満ちた瞳。
私と話すのはそんなに面白くないのだろうか、と嗜虐的になりながらも、
恩人にそれを悟られてはいけないので、社交の仮面を被る。
しかし、先輩は明らかにつまらなそうに、へー、そーなんだー、と相槌を打つ。
それでもと私は懸命に質問したり、間の手を差し込むことで、会話を途切れない努力をした。
今では、ほんと、なんで自分だけあんな無骨に好意を出しているのだろう、と思わざるを得ない。