今日はすごい後悔したことが、一つだけある。
だが、この一つが大きすぎるので、私は今も落ち着かない。
貧乏ゆすりが止まらない。
一呼吸入れたところで、何があったのかを説明すると、
朝の通学のためにバス停で待っていたのだ。
美女が。そして、僕が。
その他にも、男子が2人いた。両方とも、チェスターコートのような、大きなコートを羽織っており、すごく大人びていたと思う。
そして、その日にもマッチングしていたと思う。
日あたりがいいところなら暖かいが、日陰に入った途端に、どこから来たかもわからない冷たい風が、体に突き刺さってくる日だった。
そして、そうゆう悩んでいる時に限って、トラブルは連鎖する。
バスの定刻到着の時刻になっても、一向に現れる気配がない。
美女は寒そうにウロウロと当たりを動いて、体を温めている。
そして、近場の建物に入った。
いやいや、勝手に人の家に入っちゃいけないでしょ。
そう言いかけたとき、美女がこちらに質問を投げかける。
「一緒にタクシーに乗りませんか?」
一瞬なんで僕なんですか?、と聞きたくなったが、
彼女が下から見上げるようにこちらを見ていたので、なんとなくわかった気がした。
この人は、割り勘できる人を探しているのだ、と。
この結論までに行き着くまでに、何秒かかっただろう。
そして、僕の口から出てきたセリフは
「PAYPAY使えますか?」だった。
話が飛躍しすぎているし、そもそも相手の質問に対して、質問で返すのはあんまりよろしくない、というのが僕の経験だ。
だが、時間は巻き戻せないし、相手は外国人のようで、あまりこちらの意図がつたわってないしで、仕方なく、僕はタクシーの運転手にバトンを投げる。
そして、わかったことが、タクシーでPAYPAYは使えない、ということである。
恥を晒して得られた情報にしては、あまりにも無味だ。
彼女は割り勘する人を探しているのだからと、僕はすんなり彼女に向かって、申し訳ありません、と軽く誤った。
しかし、これは後々考えてみるとおかしい。違和感だらけだ。
僕の他に人はいるのに、彼女はなぜ僕に声をかけたのだろう。
それに、なんで僕はお金を持っていないからと、タクシーに乗らなかったのだろう。
単純に考えて、割り勘することができなくても、彼女が一人で乗る場合と支払う金額は同じではないか。
「言いにくいのですが、お金を持ち合わせてなくて、、でも、よければそれでもご一緒してもいいですか?」と言えばよかったのではないだろうか。
一番の後悔は、彼女を悲しませてしまったことだろう。
少なくとも、僕が彼女の立場なら、せっかく勇気を出して誘ったのに断られるなんて、心が苦しすぎる。
それに、お金を持っていないので、と聞かされれば、さっきの理論もあるし、なおのこと落ち込むだろう。
紳士としてあるまじき行為をしてしまった。
彼女にもう一度あって、真摯にただただ謝りたい。
あの時はごめんなさい、と。
そして、僕を誘ってくれて嬉しかったです、と。
人と話さない生活をしていると、こんな悲劇が起きてしまうのだ。
相手の気持ちに寄り添い、適切な切り返しが言えるようになりたいものだ。