前回


暫くすると、やっとノリも落ち着いてきたようで


持ってきた荷物を一つ一つ袋から出していった


「とりあえず、家にあったブランデーとコーラとお菓子と・・・


抱えてきた!今日は飲もう!」


こちらが面喰らっているのも構わずノリは次々を話始めた


「真美のバイト先に電話して、


今日は早く帰ってくるように言ったよ」


「Tくん(彼氏)は追い返した」


「まっ、つらい事は飲んで忘れよぉ」


泣いた後の顔で、出来るだけ陽気に喋りはじめる


立ち上がり、勝手を知った我が家の食器棚から


カップを3つ氷を入れて持ってきた



明日も学校があるにも関わらず


ノリはガンガン飲むつもりらしい


私はノリの割った濃いめのコークハイに口を付けた


・・・濃いのか薄いのか解からないくらい


全く味がしなかった




一時間程すると真美が神妙な表情で帰宅


真美は目に涙が溜っているものの


泣くことはなかった


いつも朗らかな癒し系の顔がこの日ばかりは長い間


引き攣った表情をしていた



親友二人が揃った所で私は今日の出来事


母から聞いたコト


夏休みのコト


等、事の経緯を説明した




二人共、両親健在で仲良くしているから


私が家族を大切にしているのも知っているから


私の心の傷を自分の家族に置き換えて想像し


感じてくれているのだろう


出来るだけ私の現状を把握し


私の悲しみ・辛さを我が事の様に感じ


共感してくれようと努力してくれる二人に


感謝の気持ちと反面


申し訳ないような気持ちが渦巻いていた




弟にもこの様な温かい友達が近くにいること


そして、母にも相談できる相手が存在することを


願わずにはいられなかった




失うことなど考えたことなかったモノが


一日で無くなってしまう・・・


そのコトが私の魂にどれ程深い傷をつけたのか


この時は誰も知る由もなかったのである



この日から私は大きく進路を変更し変わり始める