前回


ドンドンドン!!!


ドンドン!!


「まめ(ちびまめ=まめ)!!」


ドンドンドン!!


「(ドアを)開けて!!」


激しく叩かれるドアと慌てた様子でノリの声がした


時計を見ると、電話を切ってからあまり時間が経ってない


ノリの家から私の家まで徒歩で10分以上かかるのに


今夜は無理だと言ったのに


なぜ今、家の前でノリの声がするのか・・・


訝しげに思いながらもドアを開けた



すると目の前にコーラのペットボトルと買い物袋が現れた


ノリが慌ただしく室内に入ってくる


激しい運動をした後のように肩を揺らして息をし、


喋るのもままならない様子


「家から・・ココまで・・走って・・・きた・・・」


ノリはヘタリ込むようにテーブルの前に座り込んだ


「どしたの・・・」


私がノリの横に座ると


息が整い始めたノリと目が合った


途端に大きなノリの目から涙がボロボロ・・・


私がノリの涙を見て驚くのと同時に


ノリは私の首元に腕を回してきて


私は抱きしめられる型となった


私の肩口に顔を寄せて大声で泣き始めるノリ


「なんで・・・なんで・・・こんなことに・・・なるん・・・


まめが可哀そうやん・・・」


私のことで大泣きするノリの背中を擦り


出来るだけ明るい声でノリを慰める


「なんで、あんたが泣くの~・・・私は大丈夫だから^^」


先に泣かれると、残された人は泣くわけにいかない


必然的に慰め役にまわることになる



しかし・・・私は泣くに泣けなかったのだ


ノリが来るまでの時間も・・・


泣こうと思えばいつでも泣けたのに・・・


涙の出し方を忘れたように


泣けなかった・・・



ノリは泣き方を忘れた私の変わりに


泣くために此処へ来たのだ



怖がりのノリは田舎の暗い夜道を一人で通るなんて


今までしなかったのに


私の家に来る時も、いつも真美と二人で


迎えに行ってた位、怖がりなのに・・・


来ないで・・・


と言った私を心配して夜道を走って来たのだ