前回


母との電話が終わり



電話を受ける前と違う空気になった狭い部屋を見渡し


涙が出るのか確認した


あまりの出来事すぎて涙も出ない



今までの十数年の間


毎日寝る前に祈っていたコトがある


「神様、今日も一日ありがとうございました。


明日も家族が幸福でありますように


何事も災いがおきませんように


宜しくお願いいたします」


毎晩、布団に入った後


視界に入る豆電球の橙色のぼやけた明かりを見つめながら


目を閉じる前に心の中で発する


呪文にも似た言葉


私の世界の中心だった家族が


脆く崩れ去ったのだ


四肢が小刻みに震える・・・


そんな中で座り込み暫く放心していたけど、


真美ちゃんが帰宅してくる時間が迫っている


その時刻にノリちゃんも来るかもしれない


一人で居たいけど・・・・


一人で居ても気持ちが整理できるはずもなく



私はノロノロと受話器を取り


ノリちゃんの家へ電話を掛けた