さや香という漫才師について

 

さや香は、石井さんと新山さんで2014年に結成された漫才師である。

二人はNSCの同期である。

もともとはコンビではなかったが、お互いにそれまでのコンビ解消の時期が重なり、コンビを組むこととなる。

直近だと、2022年「M-1グランプリ」で準優勝をとっている。そして、二人ともイケメンである。

結成以来、新山さんがボケで石井さんがツッコミだったが、2021年夏ごろに新山さんの提案でボケとツッコミを入れ替えることとなる。

その後の活躍は言うまでもない。

 

ネタは新山さんが考えている。ネタは口頭で石井さんに伝えているらしい。それを劇場で披露する。

ネタの作り方や共有の仕方は、昭和以前の職人さんみたい。

出番前に新山さんから石井さんに新ネタを伝えられることもあるらしく、それでも面白い漫才ができる二人は、とても器用なのだろう。

ネタ合わせも1.5回?しか(おそらく数回という意味だと思うが)しないという話もある。

さや香は不仲と言われたりするが、ネタ合わせを1.5回しかせずに漫才できるわけだし、そういうの不仲っていうんだろうか???

 

会社でも特に仲がいいわけではない二人が組んだ仕事が成功することはよくある。

そう、私の経験上、仲がいいことと仕事で成功することは比例しないのではないかと思っている。

仲がいい(良すぎる)場合、お互いに言いたいことを言えずに中途半端な仕事になってしまうこともあるだろう。

仲がいい(良すぎる)場合、お互いの考え方が似ている、似すぎていることが多いため、その仕事が悪い方向に進んでいても気づかない、または、悪い方向に進んでいてもそれを見て見ぬふりをしてしまうこともあるだろう。

仲が悪い場合、お互いに言いたいことを言い過ぎてしまい喧嘩別れしてしまうこともあるかもしれないが、

どちらかの進みたい方向が間違っている、または、残念な結果になってしまいそうなとき、その片方がそこに意見を言い合えるということもある。

 

一般的に「仲が悪い」と表現しているのは、「仲が悪い」のではなく、「考え方が違う」のではないか。

考え方が違うということは、二人だったら2倍のアイディアがでるということになる。

考え方が同じだったら、二人であってもアイディアは一つしかない。

そこがビジネスで「仲が良い」からといって「仕事の成功」につながるわけではないのではないか。

 

話がそれた。さや香に話を戻そう。

さや香の新山さんと石井さんは、おそらく「考え方」が違う二人だ。

だから、世間的には「不仲」と映るのであろう。

しかし、「考え方」が違うからこそ、二人は2倍のアイディアを持つ。

「考え方」が違うからこそ、二人はお互いに切磋琢磨できる。

そう、新山さんと石井さんは最高のライバル同士だ。

 

ふつう、コンビAはコンビBをライバルとして、お互いに成功を目指す。

さや香は違う。

コンビ内に最高のライバルが存在する。

新山さんは「俺が前にでたほうがうまくいく」というようなことを言う。

それに対し、石井さんは「なんで自分が主役なん?」と言う。

二人とも、会社員だったら仕事のできる営業マンだから、ぶつかりあう。

それがさや香。

 

お互いに、「こいつと組んだら成功する」と思わなければ、コンビは組まないだろう。

お互いにぶつかり合ってもここまで成功できたのは、お互いに尊敬している(お互いに言わないだろうけど)からではないか。

「こいつはできるやつ」と思わなければ、ネタ合わせをほとんどせずに劇場に立つことはないだろう。

「こいつはできるやつ」と思わなければ、そもそもコンビは組まないだろう。

 

さや香の関係は令和の時代には合わないのかもしれない。

でも、その関係が、さや香の関係が「当たり前」になる時代はすぐそこまできている。

時代は変わる。

 

二人が仲がよかろうが、悪かろうが、関係ない。

「いい仕事」(おもしろい漫才)をして、楽しませてもらっている間はずっと一ファンとして応援したい。