愛しのレスリー
読了
読み終えるのに覚悟のいる本でした。
冒頭から辛い描写の連続…レスリーが亡くなった日のことが生々しく綴られていて何度もページをめくる手が止まった。
Bay City Rollersのリードボーカル レスリー・マッコーエンの妻(日本人)が書いた、夫婦として過ごした愛と葛藤の日々。
私よりも先にこれを読んだレスリーファンの友人は「知りたくなかったことも沢山書いてあった」と言いました。
彼女の気持ちは痛いほどわかる。
私の推しは違うメンバー(エリック)だったので、その分少しは冷静に読めたのかもしれませんが・・・夢は夢のまま、キラキラした思い出だけを大切にしたかった、という彼女の気持ちもよくわかる・・・そんな内容でした。
私の正直な感想は
10代から20代にかけての、遠く霞んでしまったセピア色の思い出の、答え合わせのような本だなぁと思いました。
ところどころ欠けていた記憶の断片が、本を読むことで再び浮かび上がってきたから。
世間一般には1983年にレスリーが結婚(妻は日本人)という報道はあっても、その頃既にBCRを脱退していた彼のことはさほど大きな話題にもならなかったので
その前後のことやお子さんが生まれてからの彼のヒストリーは、それほど知られず今に至るのかな、と思います。
(私の友人が「今更知りたくなかった」のはまさにその部分だから)
でも当時の私は世間一般よりはもう少しディープな話も見聞きしていて・・・
スマホもネットもなかったあの時代に、外タレの追っかけをする猛者たちの行動力・ネットワークと情報キャッチ能力というのは、恐るべきものがあって(苦笑)
そういう人達と繋がりがあった私にも、ごく一部ですが、彼の家族やその他の話が耳に入ってきていました。
中には「本当だろうか」と思うようなこともあったので・・・
今回の本はその答え合わせになったかな、私にとっては。
読んでない方や世代が違う方には何の話かわからないでしょうから、ここで触れるのはそれぐらいにしておきますが
一つだけ、書いておきたい。
私の推し(ギターのエリック・フォークナー)と、レスリーは一緒に活動している頃から不仲を取り沙汰されていて、奥様が書かれた本の中でも権利を巡って裁判で争った、という記述がありました。
後日談は書かれていないので、それだと2人の仲はずっと悪かったような印象を持たれるのが私にとっては残念です。
前にも書いたけど
2020年2月 最後にレスリーの歌声を聴けた大阪のライブハウスで
彼は「日本でライブツアーをやるって、エリックに電話で話したよ」と言い
エリックの作った曲「You are a woman」(邦題「すてきな君」)を歌ってくれたのです。
これはその話をしている時のレスリー。
紆余曲折があったかもしれないけれど、お互いが年齢を重ねて、2人はそうやって連絡を取り合える仲に戻っていたのだとわかって、すごくすごく嬉しかった・・・
それを、ファンの前で語ってくれたレスリーに心から感謝しました。
ファンとは、本当に儚く切ない夢を自分の偶像に託すものなのかもしれません。
夢や憧れを切り離した、ステージを降りた彼らの生身の姿を知ることがファンにとって幸せなのか、否か。
それは答えの出せない【アイドルとファン】の永遠のテーマかもしれません。
そんなことを思いながら最後のページを閉じました。
改めて、レスリー・マッコーエン氏に心からの祈りを。
どうか安らかに。
Leslie,I love you forever。