森且行選手がSG日本選手権を制覇したことを受けて

今、私の中でタイムリーな本を紹介しています。

 

1冊目は森くんがレーサーとしてデビューするまでの1年間を追ったドキュメント本「爆音に焦がれて」でした。

 

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2冊目は、こちら「心の聖地~スポーツ 闘いの記憶」(岩波書店・共同通信社編)です。

 

 

 
 

 

この本は森くんだけを取り上げているものではありません。

45人の「スポーツ」に携わる人々を追ったレポとインタビュー記事で構成されたものです。

元々は2010年に共同通信社が全国の加盟新聞社に配信した新聞記事を一冊の本にまとめられ、2012年に出版されました。

 

実は私、この新聞記事のことを2011年の元旦に書いています↓

 

 

当時、この記事を読んだ私がどれだけ色々なことを思ったことか・・・

かなりうざ長く綴っておりますが(苦笑)

要約すると

・メディアに全然露出していなかった時期に、森くんがこの取材(インタビュー)を受けたことへの驚き

・スポーツ新聞ではなく、全国の一般紙で取り上げられた記事だったことに驚き

・公営競技のレーサー(普段はギャンブル扱い)が「スポーツ選手」として扱われたことへの驚き

とまあ、驚き三連発(笑)から始まり、記事を読んだ感想も書いています。

 

このシリーズは、後に2010年度の「ミズノ・スポーツライター賞」を受賞したほど評価された連載で、その取材対象者に「森且行選手」が入っていたことを今でも嬉しく思う大切な本です。

本は全部で5つのカテゴリーに分類され、森くんの記事は「苦悩の先 細い光」というタイトルがつけられた章の中に収められています。

その章に並んだ他の名前は 競泳選手・岩崎恭子 大相撲・北の湖 元阪神監督・吉田義男 ゴルフ・中嶋常幸 等ビッグネームばかり・・・

名だたる共同通信社に籍を置く記者に、取材当時36歳の森且行さんは、一体何を語ったのか・・・

一スポーツ選手としての森くんと対峙した記者さんが、どのような言葉で彼の苦悩と未来を表現したのか・・・

当時としてはかなり内面まで踏み込んだ記事だなと思いました。

 

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一部抜粋して引用

(デビューから13年が経った現状を)

>「目標の半分くらいしか達成できてないですね。やっぱりプロの世界はすごいし、養成所のときのけがに、すべてを狂わされました」

 

(訓練中に大けがをして)

>「(恐怖心は、その当時も今も全くないんです。でも、あのけがで、芸能界の時代につくってきた肉体が全部破壊されてしまった。医者からは日常生活で全速力で走るのは禁止されているし、多分、一生、思いっきり走ることはできないですね

 

森は、整備と練習に人一倍の時間と情熱をかけて、肉体的なハンディを乗り越えてきた。だが最初のつまづきが、さまざまな誤算につながった

 

>「今36歳ですが、もし、40歳までに(日本選手権で)優勝できなかったら、僕の性格ではオートレースをすぱっとやめちゃうかもしれません。そのくらいの覚悟なんです

 

そして、ここでも前の記事で紹介した本「爆音に焦がれて」が引き合いに出されています。

(作者の大泉さんが)

>森を「一本気で、負けず嫌いで、血液型のB型に誇りを持ち、芸能界で生きるにはストレートすぎる人」と評している。

「その評価は、すごい当たっていますね。僕、すぐ顔に出しますから。我慢できないタイプだから、芸能界では絶対無理なんですよ。

芸能界って、実力があっても、必ずしも成功するといえない部分がありますね。でも、オートレーサーは、整備も何もかも全部自分一人でやるんで、負けたら他人のせいにできないし、勝ったら喜びを独り占めできる。そういうところも魅力なんです」

 

思い切って聞いた。アイドルだったことは、重荷でしたか?

 

「いや、重荷にはなってないですね。養成所時代は、取材で整備の時間を取られたりするのが嫌でしたが、今はもう割り切れています。人の目に晒される緊張感を楽しめるのも、芸能界にいたおかげだと思いますね

 

>だが、今後のテレビ出演の可能性は即座に否定した

「現状では無理ですね。絶対日本一になると言って出てきたんで、恥ずかしくてダメです」

 

>「オートレースが大好きなんです。見てたときも面白かったけど、走ってても本当に面白い。この道に進んだことに全く悔いはないですね。もっとたくさんの人にライブで見てもらいたい」

一番大切な場所は と聞くと

「ここ(川口オートレース場)ですね。レース場に入ると一番落ち着きます。外のことがシャットアウトされ、すごい集中もできます」

 

10年前に読んだ時も、今読み返してみても

なんと深い内容なのか・・・と唸ります。

私はこの記事で初めて森くんが「もう一生全速力では走れない」のだと知りました。

SMAP時代メンバー一、二を争う運動神経の持ち主だった森くんが。と思うとそれだけで胸が痛んだ。彼は我が身の色々なものと引き換えに、レーサーとして走っているのだと思い知った瞬間でした・・・

 

「40歳までに日本選手権で優勝出来なかったら、辞めるかも」

この覚悟は、当時のファンは皆何度も耳にしていて、森くん自分でもおっしゃっていますが

マジで、この人の性格ならやりかねない・・・滝汗 だって、あのSMAPを、惜しげもなくやめた人だから。

と、40歳までのカウントダウンにファンが戦々恐々としていたこと、まざまざと思い出したよ(苦笑)

森くん・・辞めないでいてくれて、よかった(涙)40過ぎてからでもSG獲れて、ほんとによかった笑い泣き

 

そして

「芸能界って~」からの森くんの言葉の重さよ。

実力があってもそれだけじゃ・・・という話は、SMAPの理不尽な解散、そして新しい地図の3人の不当な扱いを体験した今なら、多くのファンが納得する部分ではないでしょうか。

だから森くんが、自分の力だけで結果を出せるシンプルな勝負の世界を求めたこともよくわかるし

彼にはその世界の方が向いていたんだなぁ、と私も感じます。

スマ友Mさんの言葉。

「森くんは【芸能】という才能は誰よりもあると思う。ただ、芸能『界』には向いてなかった、ってことだよね」

うん、私もそう思うよ・・・今なら、ね。

 

そして記者さんが「思い切って聞いた」って(苦笑)

やっぱ、あの頃の森くんに面と向かってSMAP時代の話を聞くことは御法度な空気があったんだろうなぁ・・・

それが本当に圧力や忖度があってのことか、それとも周囲が気をまわしすぎてのことなのか・・一般人の私達にわかるはずもないけれど

でも、ビビリながらでも(笑)記者さんが聞いてくれて、よかった。

アイドルであったことは重荷か?

に対しての「重荷にはなっていない」の言葉・・・いやー泣いたわ。当時笑い泣き

もう割り切っている。緊張感を楽しめるのも、芸能界にいたおかげ。という彼の言葉にファンとしてすごく気持ちが楽になったから。

あぁ、このままの(アイドル時代から引きずっている気持ち)でも、彼を応援していてもいいのね、と救われた気がしました。

 

そして、あーやっぱりなぁ・・・と思ったのが

「絶対日本一になると言って出てきたので、テレビ出演は現状では無理」と即座に否定したこと。

彼の性格からして、そうだろうなぁ・・・と、納得でした。

だからこそ尚更、早く獲りたい、と強く思っていたのでしょうけれど。神様はこのインタビューから10年も、その願いは叶えてあげなかったんだね・・・

 

大切な場所は、川口オートレース場。

落ち着く。

外からの情報がシャットアウトされるので、集中できる。

という言葉には胸がいっぱいになるよ汗

デビュー戦は、自分の所属する場で行われるから川口なのは当たり前だけど

SG戦は他の場との持ち回り。

3年前の地図の3人が来た時は浜松で開催だったように、地元で日本選手権が開かれ、そして優勝するって凄い確率の巡り合わせでもあるから・・・

森くんって、ホントに持ってるなぁと感心する。

あなたが大切だと思う場所で、日本一になれて本当によかった。

そして

外の情報が遮断されるので落ち着く、という言葉に

この24年間、どこへ行ってもマスコミとファンがいて、SMAPに何かあろうものなら必ず巻き込まれていた彼の日常生活の苦難に思いを馳せる・・・

外の情報が入ってこないこと、普通の人なら不便に思うはずなのに彼にとってはそれが唯一、心静かに出来る場所だった、ってね・・・涙出るわ汗

 

本では割愛されましたが

新聞記事の時は「取材ノート」と題された記者さんのあとがきが付いていて、その内容がね・・・まさに2020年の今に当てはまっていて、震えます。

それもこちらで引用します。

 

>「芸能界のころからインタビューは苦手。本当は人前に出るのもダメ」だという。

だが、いったん話を始めると、素直に心情を語ってくれた。

40歳までに「日本選手権」という具体的な目標を挙げたのは、自分自身を奮い立たせるためでもあるのだろう。そういうふうに、常にチャレンジしていく男なのだ。

優勝したら、ぜひ、昔の仲間たちと一緒にテレビに出てほしい。

その日を祈っているし、彼ならきっとやると思う。

それほどスターのオーラを感じた。

 

この言葉が、すべてのような気がします・・・

 

あの時、この記事を書いた立花さん。

森くんの優勝、見ていてくださったかな?

今の立花さんから見て、オートレーサー森且行選手は、どうですか?

と、聞いてみたい気がします。

 

以上で本の紹介を終わりますね。

最後まで読んでいただきありがとうございましたニコニコ