まだ森くんの話です。すいません(笑)
今はスマホを開けば簡単に色んな記事を読める時代ですが
私はやっぱり本が好きで(紙の頁をめくるのが好き)ウェブもいいけど、大切な読み物は形にして家に置いておきたいと思うタイプです。
(そして膨大な量の本が溜まっていく・・・爆)
今
私の中で一番タイムリーな本が、この二冊。
どちらも森且行さんについて書かれた単行本です。
過去のブログでもこれらの本のこと、何度も触れていますが
今改めて読むと、どちらも本当に胸にくる・・・
まずは「爆音に焦がれて」(太田出版・大泉実成著)
これは、森くんの養成所での訓練から、デビュー戦で勝利を勝ち獲るまでの経緯を丁寧に取材されているドキュメント本です。
森くんだけじゃなく、同期の32名について書かれている箇所もあるのでオートレースファンが読んでも面白いと思う。
(候補生32名にとったアンケート調査の回答がもう、秀逸で)
彼らが「華の」25期と呼ばれる片りんが見える、個性豊かな同期達。
中にはもう引退された選手、そして残念ながら殉職(レース中の事故)された選手もおられるので・・・色々と感慨深い。
今のようにネットが発達しておらず、メディアも森くんを扱わなかった当時
私はこの本を何度も何度も読み返して、森くんの姿を頭の中で想像していたものでした。
オートレースという職業をまったく知らなかったから、オートの入門、解説本としてもとても役に立ちました。
そして
森且行という人を通して著者の大泉さんが感じたあれこれが、すごく胸に沁みました。
一部、抜粋引用します。
>森という男の行動を見ていると、常に自分を茨の道へ追いこんでいくようなところがある
(ファンからもらった手紙で、森くんがかつてかくし芸大会の空手でバット折りに挑戦して自分のすねを骨折した男だと知り)
>その映像は僕の記憶にも刻み込まれていた(中略)
どのくらい成算があったのか知らないが、自分が蹴れば折れるはずだという強烈な自己確信がなければ、プロの空手家でもない人間があんなことはやらないだろう
(中略)また、うまく立ち回るタイプの人間なら、バット折りなんてものを自分の担当にはしないはずである
>森は周囲に流されない、固い自我を持っている。僕はいろんな人物ルポを書いたが、この点で森と非常によく似た手ざわりの人間を取材したことがある。それはデビュー1年目の野茂英雄である(中略)
アイドルからオートレースという【異界】へ来た森が、野茂と同じように成功するかどうかはわからない。しかし彼の固い自我は、野茂と同じように、彼を守る強い武器になるはずである。強いて言えば、森はもっとワガママになってもいいと思う
(デビュー戦を前にして)
>この人は何かを「やってしまう」という星を背負っている。で、モノカキとしては、それも多少期待はしているわけである。まあ、やってしまう時は、盛大にやってしまってほしいものである
(デビュー戦初勝利の後で)
>ここに書かれているのは、森が乗り越えてきたことの、ほんの一部にすぎない。
しょせん僕もまた第三者にすぎない。森が乗り越えてきたものの大きさは、森だけにしかわからない
あの頃
新しい世界に飛び込み、海のものとも山のものともわからない一新人レーサーの森且行という人物をここまで掘り下げ書き起こしてくださったことに感謝します。
そして
23年前の言葉の数々が、2020年の今もピタリと符号することに驚きを隠せない。
まるで今回の優勝を祝した文章かと錯覚してしまいそう(笑)
いや、本当にね。
【やってしまう時は、盛大に】やってしまった森くんが、凄い。
そりゃあ、あの劇的な優勝戦や今まで費やした年月を振り返ると、物を書く人は興奮するでしょう。何か書かずにはいられないでしょう(私もだww)
意欲を刺激されたライターさんが沢山いると思うので、これからどんな文章、本が出てくるのか・・・楽しみに待ってます(笑)
こちらの本は、本当に「オートレーサー森且行」の初めの一歩を記した本として私の中ではバイブルみたいに思っていますが
SMAPを語る上でもあちこちで参考にされていました。
SMAP結成20周年を記念して2008年に出版された「SMAPクロニクル」(作品社出版・篠原沙里著)
第三章には森くんが最後の出演となった「SMAPxSMAP」のことが書かれていますが
その中で
>引退からデビュー戦初勝利までの1年の間の森且行については「爆音に焦がれて」に詳しいドキュメントが残されている。
オートレースの世界を知らない者が読んでも、森が一つのことにいかに集中し、どのように鍛錬に励んだか伝わってくる
と、この本の存在に触れ、森くんの努力を評価されています。
そしてその後に続く言葉に、私は涙したものです。
>SMAPという職業についていたときも、きっと同じ熱意と誠実さをもって励んでいたにちがいない
悪意ある情報操作のために世間では「森はSMAPが嫌でさっさと辞めた」みたいな認識が、5人のSMAPファンの間でさえ広がっていた当時なので、篠原さんのこの言葉がどれほど嬉しかったことか・・・
森且行という人は、どこにいても自分の与えられた環境と仕事に対して誠実に向き合う人なのだということを、「爆音に焦がれて」を基にして伝えられてよかったです。
にしても、大泉さんが書かれたこの一文
>森を表現するための定番の言葉として「一本気」「負けず嫌い」「頑固」などなどがある
これって、今も健在?変わってない?
それともアラフィフになって、少しは変化がありますか?
って、ちょっと森くんに聞いてみたいかも(笑)
次は、もう1冊の本「心の聖地~スポーツ 闘いの記憶」について紹介させてください。
つづく