何回かに分けて、08年のSSのことを振り返ってきました。
今回は、その最後の回・・・
森くんがオートレーサーになってから、ずっと出ることを目標とし、そしてやっと初出場が叶った「スーパー王座決定戦」
その2008年の、森くんの戦いを振り返ります。
前にも書きましたが
スーパースター王座決定戦は、初日~3日目までをトライアルレースとして
16名の選手が大晦日の決定戦(優勝戦)の出場を懸けて、1日1レースを走り、ポイントを競います。
上位8名だけしか最終決戦に進めないため、その3日間をいかに取りこぼしなく、上位着を獲れるか。
一戦も気の抜けない厳しい戦いが、繰り広げられます。
この写真・・・
トライアル戦前日の、枠番抽選会での森くんです。
森くんのこの表情・・・いえ、森くんだけでなく、前に座る永井選手、隣の岡部選手。
皆、すごい真剣です。
どの枠で走るのか?っていうのも選手にとっては勝負に関わってくる大きな問題になるので
こんな風に、ピリピリとした緊張感に包まれる会場になるんですね・・・
あ~もう、これ見てるだけで、胃が痛くなりそう・・・
そして、迎えた緒戦。
トライアル1日目。
森くんは、1着! 快勝でした!
おぉぉぉーーーーーーっ!!
やった!!でかした!!!森くん、カッコイイ!!!
期待に応える素晴らしい走りで、まずは大事な初日を最高の形で終えることが出来て
もうもうもう、ほんとーーーに嬉しかった
レース直後の森くん。
いーい顔してる・・・でしょ?
1着になった喜びと、高揚と、何より充実感が溢れる顔。
この日の森くんはそんな風に見えました。
よかった。
初日に1着になり、一番大きなポイントをゲットできたのは、本当に大きい。
3日間の短期決戦ですからね。
これで他の選手よりも精神面でも優位に立てる戦いが出来るんじゃないかな?と、想像しました。
エンジンの調子も良い、というコメントもあったし
これは森くん、イケるんじゃないの?
と、期待が沸々と膨らんできて、血圧上がりそうでした・・・
うん、イケる。きっと大晦日に残れる。いや、優勝も見えてる。
あと2日、今の調子をキープして、落ち着いて頑張れば、きっとその先に栄光が待っている・・・・・
と、信じてやみませんでした。
あの、魔の2日目を迎えるまでは。
トライアル2日目。
森且行選手、落車による失権。
これは、翌日のスポーツ紙の記事です。
森くんは、トライアル2日目12レースで落車を喫し、その瞬間、勝ち上がりの権利を失いました。
何ということでしょう。
前年、ポスター起用されながら、SSに出られなかった悔しさを胸に
「今年こそは」と歯を食いしばり、必死で戦い、手にした川口ナンバーワン。
まだまだ「元アイドル」としての色メガネで見る世間の目に耐え、オートのためにとレースの合間に色々な広報活動にも励み
選手生活11年目にしてやっと、実力で掴んだSSへの挑戦権。
大晦日に、満員の観客の前で、胸を張って走る自分を夢見て、努力、精進した厳しい日々。
それが
この瞬間、すべて砕け散りました・・・・・
今も、この時のことを思い出すと、冷静ではいられない・・・言葉がうまく出てこない。
そんな私です。
硬い走路に叩きつけられ、レース服が破れている森くんの写真・・・ヘルメットを脱いだ悲痛な表情の彼。
それを見て、涙が止まりませんでした。
でも
もっと泣ける事実が、この日、この新聞にありました。
このレースと同じ日
「日刊スポーツ映画大賞」の表彰式が、東京のホテルニューオータニで行われ
この年の主演男優賞の中居正広さんが
前年の主演男優賞の、木村拓哉さんから表彰盾を贈られる、という晴れやかな出来事がありました。
森くんの「落車」を伝える記事と、紙を1枚隔てて
この日の芸能面は、2人が表彰式で向き合っている写真が、大きく取り上げられていたのです。
私が、慟哭したのは、これを見た時です。
残酷すぎる。
と、泣きました。
6人のSMAPを愛する者として、胸が引き裂かれるような思いでした。
かたや、芸能界のトップに君臨し、華やかできらびやかな光の当たる場所で笑顔を見せる人がいて
もう片方には、血のにじむような努力をして、真価を問われる大一番を前にしながら、魔に魅入られて、一瞬のうちに地面に叩きつけられた者がいる。
かつては、同じ場所、同じグループの一員として並んでいた彼らが
なぜ、今
こんな形で、誌面に並んでいるのか・・・・
私にとって、それは本当の天国と地獄に思えたのです。
こんな辛い結末・・・・・一体誰が想像したことでしょう。
力を尽くして、着が悪くて、最終日に進めなかったのなら、まだ諦めもつく。
でも、森くんは「落車」という形で、実力を発揮できないままに、権利を失った。
ドラマの脚本家でも、こんな残酷なストーリー、書かないよ・・・
と、あの時の私は思いましたね。ほんとに。
でも
あんなに調子が良かったのに、まさかの落車でSSトライアルを終えたのは、それがあの時の彼の選手としての「実力」なのだと言われれば、返す言葉もありませんが・・・
あの時、森くんが歩む修羅の道の厳しさを、嫌というほど思い知った気がします。
本当に、本当に、厳しい世界です。
結局、森くんはこの落車で勝ち上がりの権利を失い、大晦日に出場することは出来なくなり
4日目に下位の8名で競う順位決定戦に廻りました。
「川口からたった1人しか出ないので、何としても最終日まで残りたい」
新聞やテレビでそう繰り返し言っていた彼の、その時の心境を思うと、胸が痛いです。
でも、森くんは、その時出来るベストを尽くしたと信じたい。
12月30日。森くんにとっての、08年を締めくくる、最後のレースは、2着でした。
落車のショックで心身を癒す時間もなかったでしょうに・・・彼は、最後に意地を見せて、連に絡む走りをやってのけました。
それは、川口オートに来場した地元ファンに対しての、せめてもの、彼のお詫び・・・だったのかもしれませんね。
そして、迎えた大晦日。
この年の「スーパースター王座決定戦」を制したのは、永井大介選手でした。彼にとって初の、SS制覇です。
永井選手は、その表彰式でこんな言葉を残しています。
「今、ここに、森且行がいないことが、残念です」と。
「森には、地元川口の走路の特徴や、攻略の仕方など、色々なことを助言してもらった。感謝している。あいつと優勝戦を走れなかったことが、残念でならない」と。
優勝戦後に、そんなこと言うのって、異例だと思いました。
でも、どうしても永井選手は、そう言いたかったのですね。
この言葉・・・・・森くんは、どこで聞いていたのかなぁ?
誰よりも森くんを知り、近くで切磋琢磨してきた永井選手のこの言葉・・・・涙が出ますよね
森くんは、今居る世界でも、本当に素敵な仲間に支えられているんだな、とわかったので
森くんが勝ち残れなかったことは、今でも残念で仕方ないけれど
最後は、ちょっと心があったかくなれた大晦日でした。
そして、森くんも、ここで終わる人ではありませんでした。
年明けすぐの、1月2日から行われた浜松でのレースで、いきなり優勝を飾り
その後、1月28日には、自身初のGⅠ制覇!
そう、あのテレビ朝日の生放送で「森、おめでとう!」をメンバーから引き出した、優勝です。
転んでも、タダでは起きないって、まさにこのことか?(笑)
森くん、08年の最後の悔しい思いをバネにして、09年も頑張りました。
そして、09年も連続で、SSへの出場を果たしたのですが・・・・
残念ながら、09年も、トライアルを突破することは出来ず・・・・
(この年だけ開催が、苦手としている船橋オートだった、ということも不調の一因かも?)
それ以来、5年間、SSへの出場は叶いませんでした。
だからこそ、今年、5年ぶりにSSに出場を果たす森くんは、きっと心に期すものがあるのではないかな?
三度目の正直。
今度こそは、絶対、大晦日まで残ってほしいですね!
森くん、あの時川口走路に落としてきた忘れ物を、今度は獲りにいく番だよ。
ぜひぜひ、頑張ってね。
心から応援しています!!!
長い長い回顧録も、これでおしまいです。
最後までお付き合いくださった皆さん、ありがとうございました。
いつまでも後ろを振り向いていては、いけませんね。
さあ、また来週の、森くんのレースを楽しみに、応援あるのみ!です。
皆さん、よろしくお願いいたします
そして、小倉のイベントに行かれる方。
ぜひぜひ、森くんと永井君、2人に「スーパースターでの対決、楽しみにしていますよ!」ってハッパかけてきてくださいなーー!ファンは、それを楽しみにしてるよ、って。
ヨロシクです