産業廃棄物処理場に着いてみると、結構ひっきりなしにトラックが走り回っていた。
運転手さんが防毒マスクをしている。

その日の見学者は僕一人。
スタッフのNさんが丁寧に説明してくださった。

処理の機構について、半端に予習してこなくて正解だったと思う。
産廃処理のメカニズムを実地で知ることができた。
最初見た時には「色んな建物でたくさんの人が働いている」ということしかわからなかったが、どの建物でどんな処理をしているのか、理解するに至った。

岩なんか、一個一個、人間が手で洗ってんだもの。
気の遠くなるような作業である。

汚染水を浄化するシステムも見学。

放水する段階ではもう飲めるレベルになっているという。
「飲んでみますか？」と訊かれ、「はい」と答えたら驚かれた。
大人はふつう断るらしい。
水道水とは違う口当たりで、かすかに塩気があったが、汚染水の面影はなかった。

産廃と土壌の処理は今年度で終わるが、水の浄化にはまだ5年～10年かかるという話が印象的であった。

帰りはご親切にもNさんのお車で町の方まで送っていただいた。
本当にありがとうございました。

この時点で16:00ちょい。
アートフェスティバルの期間外＆平日＆もう夕方なので、特に行くべきところはない。
が、このまま宿に向かうのも不毛なので、僕は無意味に南へ向かった、それこそ不毛だが。

1品目2～3個しか置いてない日用品店で缶ビールと豆菓子を買い、港の堤防で飲んだ。
※雨天である。
たびびとを気取っていやがるのである。
※くどいようだが雨天である。

そして、とぼとぼと引き返した。

たかまつ屋という民宿にお世話になる。
荷物を解き、少しだけ仕事をして、風呂を借り、近くで唯一営業している飲食店「PEACE」（お好み焼き屋）に行く。

先客は3名。

その日たかまつ屋に宿泊している全員がここに来たようだ。
外国人の夫婦（？）（美男美女）と、日本人の美女（超美女）が、英語で談笑していた。
ピースボートのポスターかと思った。
何となく促されて、僕もその席についた。

英語は半分もわからなかったが、最終的に多分、僕が（一応）フリーライターであることと、作品の取材で産廃処理場を見に来たということは（美女の通訳のおかげで）伝わったと思われる。
彼らは誰も、産廃処理場のことも豊島事件のことも知らなかった。
そんなものだろう。
僕だってネットでたまたま知ったのである。

留学経験ありというその美女は、東京でまともに働いている傍ら、アートをこよなく愛しているらしい。
明日は豊島美術館にこもるのだという。

僕も豊島美術館に行く予定なのだがそれはあくまでも偶然である。
原美術館を知っていますかと訊いたら、都内ではあそこが一番ですねという答えで、僕は何となく満足した。
知ってて良かった原美術館。

雨が降り続く中、宿に戻り、本当は仕事をしなければなのだけれど、何故かテラスに出て本を開いてしまった。
屋根はある、しかし蚊に食われる。
蚊に食われながら僕は雨音を聴いている。

つづく。

豊島・直島旅行記 その2

豊島・直島旅行記その2