ソ連を離れ“亡命者”となったタルコフスキーの初の異国での作品であり、祖国を失ってさまよう彼の心情が如実に出た、哀しく重厚で、イマジネーションに溢れた映像詩。主人公を彼と同じく国を追われた詩人とし、彼が不治の病に犯されながらイタリアで放浪を続け、故郷への想いや死への畏れ、実存的苦悩に囚われるさまを、独特の湿気にすべてがおぼろになるような映像でゆったりと綴っている。催眠効果は抜群だが、寝てしまっては勿体ない(それも快いのだけども、そうなっても、臆せずもう一度観ましょう)。ソ連が泡沫と消えても、世界中のどこかで同じ痛みが孤独に味わわれている限り、本作を観ることは無駄ではない。旅の果て、主人公アンドレイは寒村の湯治場にたどりつき、そこで狂人扱いされている老人ドメニコに出会う。彼はアンドレイに“ロウソクの火を消さずに広場を渡るように”と謎めいた依頼をする。それが“世界の救済”に結びつく、と言うのだ。そしてドメニコはローマの騎馬像の上で、平和に関する演説をぶち、焼身自殺を図る。と場面は、アンドレイがロウソクの炎を、吹きすさぶ風から必死に守りながら幾度となく、ぬかるむ広場の横断を試みる様子に切り替わる。そして、遂に渡り切ろうという時、篠つく雨は雪に変わり…。他の多くの亡命芸術家と違い、国を棄てることなく愛し続けたゆえに、魂の越境者にされてしまったタルコフスキーが、今生きていれば、“崩壊”後の世界とどのように格闘したろう。近年のミハルコフの如才ない愚作あたりを見、この映画を思い起こすにつけ、そう思う。

クレジットカードのショッピング枠現金化
クレジットカードのショッピング枠現金化
クレジットカードのショッピング枠現金化

癌で余命幾ばくもないと知った初老の男性が、これまでの無意味な人生を悔い、最後に市民のための小公園を建設しようと奔走する姿を描いた黒澤明監督によるヒューマンドラマの傑作。市役所の市民課長・渡辺勘治は30年間無欠勤のまじめな男。ある日、渡辺は自分が胃癌であることを知る。命が残り少ないと悟ったとき、渡辺はこれまでの事なかれ主義的生き方に疑問を抱く。そして、初めて真剣に申請書類に目を通す。そこで彼の目に留まったのが市民から出されていた下水溜まりの埋め立てと小公園建設に関する陳情書だった……。責任を回避し、事なかれを良しとする官僚主義への批判や人生の価値に対する哲学がストレートに表現されてはいるが、志村喬の鬼気迫る迫真の演技が作品にみごとな説得力を与えている。

クレジットカードのショッピング枠現金化
クレジットカードのショッピング枠現金化
クレジットカードのショッピング枠現金化

主人公のジョージという男は、いつも何処かでツキに見放され、逆境にばかり立ち向かう運命にあった。自分のミスではなく大金を失った彼は、全てに絶望して自殺を図る。ところが、12月の冷たい河に飛び降りようとしたとき、彼より先に一人の男が身を投げて救けてくれと叫んだ。あわてて救けたジョージに、男は、自分は見習い天使だと告げるが……。映画はまず、挫折つづきのジョージの人生を語る。この、希望が幾度となく打ち砕かれるエピソードの積み重ねには、ジョージばかりではなく観る側も、その理不尽さに怒りを感じずにはいられないだろう。そして、天使の案内する“もし彼が生きていなかったら”という仮定の世界で、彼は自分の存在理由をかいま見る事になる。果たして彼は自殺を思いとどまる充分な理由を見つけることが出来るのか、という部分がこの作品の要になるのだが、安易なハッピー・エンドに逃げていないのはF・キャプラの理想主義の賜物である。

クレジットカードのショッピング枠現金化
クレジットカードのショッピング枠現金化
クレジットカードのショッピング枠現金化