『A Stand By You!!』

『A Stand By You!!』

僕の最初で最後の恋物語です。

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その日、葵は緊張していた。

高校受験の日だからだ。

やるだけの事はやったし、自身もある!でも緊張するのだ。

「あ、そういえばアレするの忘れてた!」

葵は机の引き出しからボロボロの紙切れを取り出し、それをジッとながめた。

こうすると何故か落ち着くのだ。

その紙切れは、昔葵が引っ越しした時に男の子の友達から餞別に貰ったものだ。

当時流行ったアニメのイラストと、電話番号付きのメッセージが書かれている。

「いつでも電話してこいよ、か・・・。」

最初は電話しようかと随分悩んだが、今ではもうそんな気にはならない。

ただ、あの頃少し気になってたあの男の子は今頃どうしているのかなっと

たまに考える位だった。

その日は雪が降っていた・・・。

誠司はひとり、道の真ん中に立っていた。あの子を乗せた車の向かった方をながめて・・・。

思えばあの子を好きになったのはいつだっただろう?なぜ好きになったのだろう?

後悔ばかりが思い出され、幼い誠司を潰していく。

思いを告げればよかったのに、何もできなかった・・・。

誠司の胸には大きな穴がポッカリと開いてしまった。

幼い時であるがゆえに癒すことの難しい心の傷という大きな穴が・・・。

道にはタイヤの跡が残っている。

が、あと1時間もすればその跡も消えてしまうだろう。

そう思った途端、あの子と自分を繋ぐものが完全に消えてしまうように感じ、誠司は泣いた。