1888年イギリスの

宝石商エドウィン.ストリーターが

「ビルマ鉱山会社」を設立し、

ルビーの採掘を始めました。

現ミャンマーのモゴック鉱山です。

19世紀後半から20世紀前半の

イギリスのアンティークジュエリーに

使われているルビーは、そのほとんどが

ミャンマー、モゴック産のルビーで、

この時に採掘されたものです。

それが、設立からわずか20数年で

「ビルマ鉱山会社」は、破産して

しまいます。

理由はルビーの人工合成石の登場です。

その時にイギリスと鉱山の採掘権を

取り合いして採掘権を逃したフランスが、

1883年にベルヌイ博士が発明した

人工合成ルビーをフランス産のルビー

として大量に世界中に売りに出しました。

採掘権を取り合いして、負けた事への

報復だったのかどうかは、今となっては

分かりませんが…


天然、人工石の区別をつける前の時代

です。

直後は、ビルマ産(ミャンマー)よりも

高値で取引されたようです。そのために、

イギリスが輸入する天然ルビーの価格が

暴落し、鉱山から撤退、破産しました。


今では、人工合成石は、宝石として

扱われることは無くなりました。

人工的に数が増やせるので宝石の定義

「美しさ」「希少性」「経年変化無」の

希少生が立証できないからです。

人工合成ルビーの宝石としての価値も

無くなりました。


宝石は経年変化が無いものです。

次の世代、またその次の世代も意識して

お預かりしなければならない…

そう感じさせられる過去の出来事です。


写真は、天然無処理で美しいルビーの

内包物(インクルージョン)。

インクルージョンは、天然石かどうかを

判別するときの手がかりになります。