$ルビー社長☆森孝仁 presents ルビーの森

指輪はパーソナルなジュエリーだと

いわれます。ネックレスもイヤリング

も自分の目で間近に見ることはでき

ませんが、指輪はいつも自分の視界に

入いる、身近なものです。

それだけに、古い指輪を見ると、

その時に生きた人の「気持ち」を

感じる事ができます。

研究にも参加させて頂いた

「Histric Rings 指輪88」淡交社

の表紙に載っている指輪にもストーリー

があります。


本文より引用)
子ども用の指輪には、木の実を
ついばむ小鳥と男児の名前が
彫られている。この指輪はリング
サイズ4番で小さいけれども、
しっかりとつくられています。
子供用としてかんがえてしまう
ところですが、決して安価なもの
ではなかったでしょう。3世紀
ローマ帝国時代に作られたもの
とされています。周囲にギリシャ
文字でソフォロニウスという
男性の名前が書かれていることから、
男の子のものだろうと思われます。
当時、裕福なローマ人の子弟は、
ギリシャ人の家庭教師に教育された
といわれています。初めて勉強を
する頃に、この少年に贈られたもの
でしょう。迷子札のように使われた
のか、あるいは何かのご褒美に貰った
のか、いろいろと想像できます。
ベゼルにはウズラのような鳥が彫られ、
鳥が食べる木の実(ベリー)の粒と
文字の英田にツタの葉があります。
これらのモチーフがどんな意味を
持っていたのかはわかりません。
鳥は彫り込まれているで、印章として
も使うことができるようです。
文字とベリーは黒くはっきりと
残っています。これは黒色合金
ニエロを用いる象嵌の技法で、
古代ギリシャ以来、金属装飾に
使われてきました。このように、
子ども用としてもしっかりと
作られた指輪で、この少年に対する
深い愛情が感じられます。
ほぼ2000年前に生きた少年は、
どんな人生を送ったのでしょうか。
引用ここまで)指輪88より
文:宮田雄史氏 理学博士、
日本宝石学会会長