
写真は、ルビーの内包物である通称
「シルク」と呼ばれるインクルージョン
です。
1500度ぐらいで加熱処理すると…

シルク(針状のルチルの結晶)が溶けて
ご覧のように何かやけどしたような姿に
変化します。
無処理で美しいルビーを探されるか方は、
しっかりと内包物の確認と説明も受けて、
ご自身の眼でインクルージョンや品質を
確かめるのが良いと思います。
私たちジュエラーは、ルーペで処理の
有無を判断しなければならない機会が
多く、ルーペでそれを見分けられる
ようになりたい…と10年前から自分たち
でバーナーで美しさに欠けるルビーを
加熱したり、6年前からは、スリランカ産
の加熱処理機器を導入して実験をしています。
誰に聞いてもハッキリとした情報が少なく、
その説明も良くわからなかったので、
それでは、自分たちで加熱してしまえ…
と、実験がスタートしました。
顕微鏡で加熱する前のインクルージョンを
撮影し、加熱後にも再度、インクルージョンの
撮影をする事で、加熱処理をするとどうなる
のか?を実際にやっているうちに見えてくる
モノがあります。

こちらも典型的な加熱処理の痕跡です。
付け加えておきたいのは、
加熱処理をしたルビーが悪いのでは
ありません。
美しさは同じです。
ただ、希少性が全く違うので、注意が
必要です。
無処理で美しい希少なルビーは、
時間が経っても価値は変わりませんが、
処理した宝石は、時間と共に希少性が低下
し、特に還流市場で値段が低くなります。
勘違いして手に入れると、ガッカリされる
ので、確認をされておいた方が良いと
思います。
宝石の国際的な定義は、
美しく、「希少で」経年変化の無いモノ
です。
ご参考まで。