母はがんで死にました。

末期がんを告知されてから2年半。

ここまで生きたのは奇跡に近いと。

でも、ここまで生きれたのだから、もっと長い時をともに行きたかった。

起こせる奇跡だと思っていました。

でも、起きませんでした。

斎藤一人さんの本で、

「90歳の大往生でも、30歳でがんで亡くなっても、交通事故で亡くなっても・・・

 どんな死に方をしても、それがその人の寿命だったと思う。

 それが生きるということ。」

この言葉が心に響きました。

60歳の誕生日を迎えた1週間後に亡くなった母。

これが、母の寿命だったのだろうか。




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母の病状が進行して入院していたとき。

体力が落ちてしまい、食べ物もほとんど何も受け付けてくれない。

母の横にいても、

母の病気をなんともすることができず、

母に何もしてあげることができず、

何にもしてあげることができないことが、

こんなにつらく、悲しいことだったなんて初めて知りました。

「お見舞いに来てくれるだけで元気になれそうな気がする」

こういってくれた母。

少しでも何かしてあげたかったのに。

どうしてそれすらできないのか。

毎日のように自問自答していました。

もっと元気なときに・・・・・。



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「あなたはあなたのままでいい」

そんな言葉を聞いたことがあります。

斎藤一人さんの言葉だったでしょうか、

「病気のあなたは病気であるあなたそのままでいい」

といっていました。

まさに、そうなんですね。

病気を治すことばかりではなく、

「病気であるあなたは、そのままで今をどう幸せに過ごそうか。」

そう考えることが必要だったなと思います。

このことに気づくのが遅かった。私も父も。

母を失いたくないがゆえに。

こう考えることがもっと早くできていたら、

母の生きている間にもっといろんなことが共にできたのに・・・・。

そう思います。


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死ぬ1週間前くらいだろうか。

久し振りに体調がよかった母はこういっていた。

「ありがとう、幸せだったよ」

病気を助けてあげることができず、ただ横にいるしかない

私に母はそういっていました。

「出雲もいったね。白浜もいったねぇ」

「一緒にいろんなところに出かけて・・・」

まだ60の誕生日を迎えたばかり。

せっかく日本に生まれたのに、母に用意された運命はこれなのか。

「欲張っても仕方がないからね」

そういっていた。

母が末期がんの告知をされた次の日に生まれた子供が

2歳半を迎えたころでした。



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死刑というのがあります。

裁判所で死刑が確定した場合、

死刑囚となるのですが、死刑が執行される日は伝えられないそうです。

死刑が執行される日の朝、そのことを伝えられるそうです。

なぜそうなっているのか。

それは、死ぬ日がすでに決まって伝えられていると、

そのことを受け入れることが難しく、

とても、正気ではいられないとのことです。

この話、昔聞いた話なので、ちがっているかもしれません。

この話をふと思い出しました。

がんの患者は、多かれ少なかれ、

「死ぬかもしれない日」が伝えられる・・・。

それの心理的負担はいかほどのものか。

ストレスががんの自然治癒に必要な免疫を低下させることが

わかっています。

「死ぬかもしれない日」・・・

どれほどのストレスを患者が襲うのか。



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