ひさしぶりに「ちゃぶ屋」 の主人、森住康二さんにお会いした。

ちゃぶ屋といえば、護国寺にあるラーメンの超有名店だ。


さまざまな分野で職人と呼ばれる人がいるが、

この人こそ、まさにラーメンの職人。マエストロだ。



森住さんのこだわりはラーメンのありとあらゆることに及んでいる。

麺はスープと麺の風味のバランスを考えて

味ごとに太さが違う。

塩なら繊細なスープに合うように少し細めに。

味噌なら濃厚な味噌の香りに負けないやや太め、といった具合だ。

器も香りの立ち方に気を配っていて

塩なら香りがストレートに昇るようにタテ長になっていて

しょうゆは香りに包まれるように広口になっていたりする。

スープも食材を研究し尽くして、

その素材の持つよさを最大限に引き出すように時間をかけて炊くという。


一見すると、寡黙で気難しそうに見えるが、そうではない。

それはラーメンに対する敬意であり、

食べる人への思いやりを常に考えている人だ。



職人というと、確かに近寄りがたい雰囲気があるかもしれない。

森住さんも独特のオーラを持っている。


でも僕が好きなのは、彼がラーメンのことを語るときの顔だ。

まるで少年が好きなものを熱く語るときのような

屈託のない素敵な笑顔なのだ。



ひとつのことにこだわる。


簡単なようでいて、時計に追われる今の時代では

なかなか難しいことだ。


ラーメン一杯にこだわる。

食べる人のことを考える。

そのことを考えると思わず笑みがこぼれる。



彼の生き方には良く生きることの大きなヒントが隠されている。

僕もそんなふうになれるだろうか。



なにはともあれ、彼のラーメンを食べに行ってから考えようっと。