ルイ16世 Louis XVI

1754-1793.1.21(在位 1774-1792) 享年38歳。 処刑。 国王。



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1793年1月21日、水曜日。ルイ16世 は牢獄で看守に起こされた。この世で最後の目覚めである。彼は前年の8月 から王妃マリー・アントワネット皇太子 、王女、妹のエリザベート と共にタンプル塔で暮らしていた。

8時30分に最後のミサを受けることを許された。その後、市長所有の幌付き馬車に乗った。寒くて霧のかかった朝だった。群集が集まり、衛兵は革命広場まで4キロもの道のりを並んで護衛した。この場に及んでも国王を救出しようとしている者がいるから、それを恐れたのである。

太鼓が鳴りつづけ、道に立っている群集は静かに国王の馬車を見つめた。革命広場まで行くのに1時間かかった。革命広場に2万の群集が集まったが、声を発するものはいなかった。

10時に国王は断頭台に着いた。彼は牧師と共に処刑台に上り、自ら上着とスカーフを脱ぎ、襟元をゆるめた。両手は後ろで縛られ、髪は大きなはさみで切られた。それから、群集に向かって力強い声で次のように叫んだ。今まで鳴っていた太鼓の音が止んだ。

「余は、余が告発された全ての罪について無実のまま死ぬ。余は、余の全ての敵を許す。
余の血がフランス国民にとって有益ならんことを、そして神の怒りを鎮めんことを、余は切望する。
かつ、汝らの不幸な人民の怒りを…」

最後のほうは太鼓の音で消されてしまった。二人の処刑人が国王をつかみギロチンに載せた。

拍手が沸き起こった。群集は帽子を投げ、処刑台の周りで踊った。公式の死亡時間は10時22分。

存命中は、妻の言いなりになる優柔不断な国王だったが、最後ばかりは国王らしく堂々としていたと言う。

(ルイ16世はあまりに鈍いので、死に赴くということがわからなかったのではないか、という人もいるが、この善良な国王をそこまで悪く言いたくないと言うのが私見である。)



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